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国民の薬局機能理解が課題に

2018年12月21日 (金)

 先週の14日に開かれた厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会では、来年の通常国会提出を目指す薬機法改正を含めた制度改正の取りまとめ案が了承された。その中で、恐らく、多くの薬局薬剤師の耳目を集めたのは、薬局を機能別に3分類するという方向性だろう。

 この改正法案が初めて提出されたのが10月18日の部会で、その日の追加資料として示された。薬局を機能別に3分類し、専門性を特化するという内容で▽通常型薬局▽輪番制の休日夜間対応や在宅医療対応等を行う地域密着型▽抗がん剤など特殊調剤に対応する高度薬学管理型――というものだった。

 部会の議論を経て、取りまとめの段階では、「患者のための薬局ビジョン」でかかりつけ薬剤師・薬局が備えるべき機能や、患者等のニーズに応じて強化・充実すべき機能を有していることを基本に、開設許可要件を満たす▽最低限の機能を持つ薬局、そして▽地域において、在宅医療への対応や入退院時をはじめとする他の医療機関、薬局等との服薬情報の一元的・継続的な情報連携において役割を担う薬局▽がん等の薬物療法を受けている患者に対し、医療機関との密な連携を行いつつ、より丁寧な薬学管理や、高い専門性を求められる特殊な調剤に対応できる薬局――に分類するとの薬機法改正の方向が示された。

 薬局の分類については患者自身が適した機能を有する薬局を主体的に選択できるよう、薬局開設許可に加えて、特定の機能を有する薬局を法令上明確にし、表示できるようにすることも盛り込まれる。

 これら薬局の分類について日本薬剤師会の山本信夫会長は定例会見の中で、薬局を機能分類に応じ許可要件が異なるレベルではなく、機能に応じた標榜ができる内容に収まったことで「地域に対して分かりやすく標榜できることは悪いことではない」と評価。一方、日本保険薬局協会の杉本年光常務理事は「国民目線からすると、今までは何も看板がなかった点からすると分かりやすくなったと思う」とし「ある程度妥当な区分けではないか」と見解を示す。

 薬局の機能分類の方向性が薬機法改正の中でどう組み込まれるのか。薬局の施設基準も含めて、薬剤師が具体的にどのような役割を担えるのかがポイントになるのではないか。今回の制度改正の取りまとめの中で大枠が示されたが、消息筋からは「かかりつけ機能を持つ薬局と高度薬学管理型薬局、それ以外」の分類とし、前者の2タイプ薬局のみが機能を標榜できるとの話もある。

 まずは、多くの国民が、本来の薬剤師、本来の薬局の役割や機能を理解し、自ら薬局を選択し、薬局機能を有効活用できるだけの情報をどのように提供していくかが、来年の薬機法改正に向けて大きな課題となるだろう。



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