日本薬剤師会会長 山本信夫
少子高齢化が加速する中、2025年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革に続いて、団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となる40年を見据え、国民皆保険制度の維持・継承と全世代型社会保障の構築を目指して、健康寿命の延伸、医療・福祉サービスの生産性向上、給付と負担の見直し等の取り組みが進められようとしています。
「経済財政運営と改革の基本方針2018」では、患者本位の医薬分業を実現し、地域の薬局が効果的・効率的に役割を果たすことができるよう調剤報酬のあり方を引き続き検討すること、セルフメディケーションを進めていく中で、地域住民の身近な存在として、健康の維持・増進に関する相談や一般用医薬品等を供給し、助言を行う機能を持った健康サポート薬局の取り組みを促進することが示されました。
薬剤師・薬局には、薬剤の調製などの対物中心の業務から、患者、住民との関わりの高い対人中心の業務に転換すると共に、医薬品や衛生材料等の供給拠点として機能することで、地域医療提供体制に貢献することが求められているということです。
一方、改正から5年目となった薬機法は、薬剤師・薬局の基本的なあり方の見直しが検討され、医薬分業、薬剤師の職能の強化と薬局の機能について議論されました。一人の薬剤師が一つの薬局を開設する原則に立っていた現行の法体系では規制できないほど薬局・薬剤師を取り巻く環境は大きく変化してきました。今後法改正に向けた動きが始まりますが、変化に即した適切な規制のもとで、国民・患者のニーズに的確に対応できる薬剤師・薬局の姿を描かなくてはならないと考えます。
超高齢社会に向けて、社会保障に関わる制度や規制の改革が進められる一方、医療の高度化・複雑化などによる医療費の適正化が課題となっています。
薬物療法を効率的・効果的に提供し、地域包括ケアシステムの中で多職種と連携・協働して、地域住民の生活を支援する地域社会のリソースとして、国民の健康寿命の延伸に貢献していくことは、薬剤師・薬局が果たさなければならない重要な使命であると認識しています。
地域において患者が使用する医薬品の一元的・継続的な薬学管理指導と薬や健康等に関する多様な相談に対応し、必要な医薬品等を提供するすると共に、国民のセルフメディケーションを支える、かかりつけ薬剤師・薬局の推進に引き続き力を尽くしていく所存であります。