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社会が求める質の達成を

2020年01月08日 (水)

 令和2年の幕が開いた。今年の干支は庚子(かのえね)。「庚」は植物の成長が止まり新たな形に変化することを表し、「子」は発展を表すとされている。庚子の今年は薬業界にとって、どのような1年になるのだろうか。何を重視し、どんな取り組みを進めるべきなのかを考えてみたい。

 本紙が日々動向を発信している医薬品業界、薬剤師、薬系大学などについて、各領域には様々な課題が存在している。それぞれの動きを見ていくと、根の部分では課題は共通していると考えられるのではないか。

 それぞれが社会に向けて提供するモノやサービスについて、その質が年々強く問われるようになっている。社会にとって役立つ質の高いモノやサービスには、相応の対価が支払われる。

 一方で、質が低ければ社会からはそれなりの評価しか得られない。こうした社会の要請にしっかり対応しなければ、場合によっては退場を迫られる。これが各領域に共通する課題であろう。

 医薬品業界では、画期的な新薬を高く評価する一方、特許期間後の薬の価格は抑える薬価制度改革が段階的に進んでいる。費用対効果評価の運用も始まりつつある。海外の製薬企業との競争が激化する中、創薬力を高めてニッチでも有用性の高い医薬品を社会に供給する必要がある。アプリやデジタルデバイスの活用、疾病予防など新たな領域への挑戦も今年はさらに進展するだろう。

 薬剤師はどうだろうか。対人業務の充実を促す「モノからヒトへ」の動きは今後も止まることはない。求められているのは、医療の質や安全性の向上、医療費の抑制、医師の負担軽減などに役立つ業務である。調剤報酬や法改正によって背中を押されるのではなく、自ら業務の変革に取り組む姿勢が望まれる。取り組みの成果をエビデンスとして示していけば、診療報酬は後からついてくる。

 質の保証という意味では、薬剤師がやるべき業務を日々どれだけ実践しているのかを示すクオリティインディケーター(QI)という概念にも注目したい。QIは今後、薬剤師の世界にも広く浸透する可能性を秘めている。

 薬系大学には、社会で役立つ質の高い人材の養成が求められている。しかし、薬剤師不足を背景に薬学部新設が相次ぎ、間口が広がったことで入学者の質が低下したと懸念する声をよく耳にする。理屈だけで考えると、解決策は薬学部への進学志望者を増やすか、薬学部の数を減らすか、どちらかしかない。志望者を増やすには、薬剤師を魅力ある職業にして、活躍の場を拡充しなければならない。一方の薬学部の数を減らすという方策は現実的に可能なのか。いずれも悩ましい課題だ。

 このように、高い質を求める社会からの圧力は各方面でますます強まるだろう。真の実力が問われる1年になりそうだ。




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