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運輸業大手ヤマトグループの「ヤマトロジスティクス」は19日、ジェネリック医薬品(GE薬)の製造販売者と購入者が直接取引を行う新しい流通システム「ヤマトメディカルダイレクト」の運用を、9月1日から聖マリアンナ医科大学病院と関連3病院で開始すると発表した。卸・販社の中間コストを排除し、GE薬のメリットである低コストを最大限に引き出すと共に、宅急便で培ったノウハウで全国安定供給を実現するのが狙いだ。異業種のヤマトが従来の医薬品流通に挑戦する格好で、新たな競争環境が生まれるのは必至の状況になってきた。
9月から運用を開始する「ヤマトメディカルダイレクト」は、宅急便で培ったIT(情報技術)・LT(物流技術)・FT(金融技術)を駆使し、GE薬の製造販売者と購入者が直接取引を行う流通システム。注文受け付けから配送・代金回収まで、ヤマトロジスティクスがメーカーからまとめて受託することで、複数購入者と複数メーカー間の直接取引をワンストップで実現する。卸・販社のMSが担っていたGE薬の情報提供に関しては、先発品の豊富な医薬品情報があることから、ウェブサイトを活用し、人的コストの削減も実現する。
これにより、購入者側の医療機関・調剤薬局は、少量でもGE薬を安価に購入でき、全国翌日調達が可能になる。一方、製造販売者側のGE薬メーカーは、ITの活用によって流通コストが削減でき、物流拠点も102カ所で全国翌日配送が可能な宅急便ネットワークを活用することから、流通在庫の削減も期待できる。
ヤマトが開発した新しいシステムは、安価というGE薬のコストメリットが活かされていないという問題意識から開発されたものだ。既に6月の日本ジェネリック医薬品学会第2回学術大会で、ヤマトホールディングスの久保田妙子氏がシステム構想を発表し、現行のGE薬流通体制に一石を投じていた。
今回、ヤマトメディカルダイレクトの導入を決めた聖マリアンナ医科大学病院薬剤部長の増原慶壮氏は、「医療費が抑制される中で合理化を行い、より少ない経費で医療を提供したかった。当初は緊急性の低いGE薬を中心に20030品目の導入を予定している。現時点では、全体の医薬品購入品目数からすれば203%に過ぎないが、今後は他のGE薬、さらに新薬にも運用範囲を広げていきたい」と話している。
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