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地域医療連携は標準化の方向へ

2020年06月19日 (金)

 人口の高齢化に伴って増え続ける患者に対応し、医療資源を効率的に活用するため、病院完結型医療から地域完結型医療へのシフトチェンジが進んでいる。薬剤師の視点からは、薬局薬剤師をいかに地域完結型の枠に組み込んでいくかが重要で、そのためには具体的な連携の仕組み作りが欠かせない。

 薬剤師を含めた地域医療連携の重要性は以前から認識されており、20年以上前から「薬薬連携の推進」を旗印に各地で様々な連携が行われてきたが、多くは病院単位など小規模な取り組みにとどまっていた。しかし近年は、標準的な仕組みを作り、地域全体で連携を進めようとする機運が高まりつつあるように感じる。

 具体例の一つが兵庫県での取り組みだ。兵庫県薬剤師会と兵庫県病院薬剤師会が連携して、病院薬剤師と薬局薬剤師の交換研修事業を実施。入退院時に病院と薬局間で患者情報を連絡する「施設間情報共有書」の標準様式を作成した。今後も連携推進に力を入れる計画である。

 京都府でも取り組みが進んでいる。京都府薬剤師会は、院外処方箋を受けた薬局薬剤師が薬効や副作用の状況、処方提案を処方医に伝えるフォローアップシートを、抗癌剤と鎮痛薬の2種類を対象に作成した。統一様式での連携を府下全域で促進してもらいたい考えだ。

 主導した病院薬剤師は「薬剤師は、薬を服用している期間は患者さんのことを気にとめるのが当たり前だと思う。患者を見守る習慣が薬局薬剤師に定着すると本当の意味でかかりつけになれる」と期待を込める。

 今後、地域医療連携を進める上で、電子化への対応が課題になるだろう。現在は連携ツールを作ったとしても、記載した情報は紙媒体やFAXを使ってやりとりされることが多い。紙媒体では情報を記載するのに手間がかかる。薬局からフィードバックされた情報を病院の電子カルテに転記するなど、情報の取り込み時にも手間を要する。かえって連携が進めば進むほど、手間が増えてしまう。こうした新たに生じる手間が連携を阻む壁とならないよう効率的な仕組みを作る必要がある。

 一つの手段として、電子的な情報の受け渡しが考えられる。将来、1人の患者の電子カルテを地域全体で共有する枠組みができれば、電子的な連携ツールを組み込めるようになるが、実現までのハードルは高い。

 一方、患者が保有する自らの医療情報を地域全体で共有する方法もある。電子化した情報を患者に渡し、患者の許可を得た上で地域の医療・介護職種が情報を見せてもらうというもので、この方法は実現のハードルが低い。

 実際に、医療・介護分野で様々な取り組みが行われている。薬剤師が発する情報の伝達にも同じ枠組みを活用できないだろうか。今後、各地で仕組み作りが進むことに期待したい。




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