新型コロナウイルス感染拡大の影響は、様々な方面へと波及した。緊急事態宣言が発令され、外出を自粛する日常が当たり前となり、休業要請によって多くの施設が活動を停止。東京オリンピック・パラリンピックの1年延期も決定し、夏の全国高校野球の中止をはじめ、多くのイベントは中止や延期を余儀なくされた。
学校の休校も長期に及んだ。緊急事態宣言は解除されたものの、「新しい生活様式」のもと、以前のような生活は戻っていない。
医療現場には、懸命に患者に対応する医療従事者の姿がある。最近は、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた病院が赤字に陥っているといった問題も指摘されている。心身とも極限まで疲弊している医療従事者が数多くいる中、様々な問題を抱えていても、「患者を救うため」「医療崩壊を防ぐため」に、今なお戦い続けている医療従事者の姿には勇気づけられる。
保険薬局の店頭においても、新型コロナウイルスの感染リスクを負いながら、薬剤師が日々患者対応に当たっている。「0410通知」に基づくFAXなどによる処方箋応需や電話服薬指導を実施している保険薬局も多い。
薬局内でもカウンターに仕切り板を設置したり、マスクや消毒剤の常備をはじめ、感染予防の工夫が至るところに見られる。各薬局の姿勢や取り組みは、不安に駆られる地域住民や患者に寄り添っていると言えよう。
新型コロナウイルスの感染拡大は、確実に保険薬局の業務にも影響を及ぼしている。日本保険薬局協会が発表した緊急調査の結果では、月間処方箋受付枚数が前年同時期と比べ「減少した」との回答が9割近くに上り、減少幅では「10~20%未満の減少」との回答が最多となった。月間売上高(調剤報酬)についても7割強が「減少した」と回答。同協会の首藤正一会長も「薬局自身も疲弊している」との認識を示した。
さらに調査結果を見ると、流行以前との業務量の違いについて、感染症予防対策業務や相談応需業務が「増えた」と感じていることが判明。新型コロナウイルス感染症が拡大した状況については、21.3%が「かなり不安」、71.4%が「不安」と回答した。
これらの回答からは、薬局での業務に影響があり、精神的な不安や疲労を抱えながらも業務に当たっている姿がうかがえる。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療も含めた社会環境は大きく変わった。日々の日常生活においては、新型コロナウイルスと共に暮らすといった意識も求められている。
今後も冬にかけて流行の第2波への懸念がある。まだ先が見通せない中、医療従事者がずっと背中で示してくれたように、これからも皆が一丸となって新型コロナウイルスに立ち向かっていく必要があるだろう。