新型コロナウイルスの感染拡大は、マスクや手指消毒剤などの品薄状態を引き起こし、これら製品を求めて早朝からドラッグストアの店頭に長蛇の列ができるなど、大きな影響を与えた。現在、マスクや消毒剤の需給は落ち着きを取り戻し、各店頭には製品が並んでいる。しかし、日々の生活において、マスクや消毒剤は欠かせないものとなり、これらを手放せない生活が今なお続いている状況である。
マスクや消毒剤が生活に欠かせない必需品となった背景には、新型コロナウイルス感染拡大の影響による予防意識の高まりがあることは間違いない。プラネットが実施した「マスクに関する意識調査」の結果によると、かぜやウイルス、花粉症などの予防目的でマスクをする人の割合は約9割に達し、3年半前の1.5倍にまで上昇した。マスク着用の頻度も、新型コロナウイルス感染拡大の前後を比較して「増えた」と回答する人が約6割となっている。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大を契機にマスクを着用するようになった人の割合は、高齢者を中心に高く、全体でも約3分の1に上ることが明らかになっている。予防のためにマスクを日常的に使うようになった行動変化であり、こうした数字と共に、日々の暮らしの中で目の当たりにするマスク着用者の多さが予防意識の高まりを物語っている。
店頭に並ぶマスクのラインナップが充実したことで、消費者には選択の余地も生まれた。その際に重視する点は、やはり価格と性能になるようだが、興味深いのは「日本製であること」を重視する人が2割超いること。「価格は多少高くとも日本製を」といったこだわりがマスクにも及んでいるようだ。より高い予防効果を求める消費者が一定程度おり、日本製という品質への信頼感の高さの表れとも言えよう。
一方で、手作りのマスクも浸透している。同調査によると、現在使用しているマスクとして「不織布(プリーツ型)」「不織布(立体型)」に次ぐ3位に「手作りマスク」がランクインしている。実際に街中や電車の中などでも、形や色など様々なバリエーションの手作りマスクを着用している人の姿をよく見かけるようになった。手作りマスクを着用している人の中には、マスクのデザインや製作、着用を楽しみに変えている人もいるはずだ。
未だ新型コロナウイルス感染症の収束が見えず、「ウィズコロナ時代」とも言われている。第2波、第3波への懸念で、否が応にも気分は沈みがちになっている。それでも、生活必需品となったマスクに関連して楽しみを見出している地域住民がいるの事実。
ウィズコロナ時代において、薬局やドラッグストアの店頭でも、従来の発想を少し転換した工夫を施すことで、楽しみを見つけたり、喜びを感じたりできることをアピールしたい。