京都大学SPH薬局情報グループ(リーダー:岡田浩氏)は、国際薬剤師・薬学連合(FIP)が7月に策定した薬剤師向け新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ガイドラインの改訂版を日本語に翻訳し、同グループのウェブサイト(https://www.kyoto-sph-pharmacy.com/covid-19)で公開した。FIPから許可を得て20人がかりで1カ月かけて翻訳したもので、多くの薬剤師に活用してもらいたい考えだ。
同ガイドラインは、▽臨床情報と治療のガイドライン▽薬剤師と薬局従事者のためのガイドライン▽よくある質問と迷信的な話や不安に対するアドバイス――の3部で構成されている。
薬局薬剤師はCOVID-19の拡大防止に貢献できるという主旨が、ガイドライン全体にわたって貫かれていることが特徴。COVID-19の感染経路や予防法、薬物治療のエビデンスや臨床試験の状況、ワクチン開発の現況を解説しているほか、薬局や病院で薬剤師が実践すべき業務や対策について具体的に提示している。
カナダ、オーストラリア、イギリスなど各国の薬局の取り組みも紹介。「薬剤師が地域社会に提供できる心理的介入とは」など、FAQ形式でよくある質問への答えも掲載している。
監訳者として翻訳作業に関わった岡田氏は「このガイドラインは単に知識をまとめたものではなく、薬局が社会に果たすべき役割を示していると強く感じる。薬局の現場で働く薬剤師に、ぜひ活用してもらいたい。世界中の薬剤師がCOVID-19対策のフロントラインに立って同じように奮闘していることが伝わり、少しでも勇気づけられるようであれば嬉しい」と話している。