中外製薬永山社長
中外製薬の永山治社長は27日、都内で開いた経営説明会で、「中心となる癌領域では、われわれが市場をリードしていかなければならない」と述べ、売上規模等の数字ではなく、行動の質で日本のトップ製薬企業を目指していく方針を示した。同社は現在、中期経営計画「Sunrise 2012」を推進中だが、関節リウマチ治療薬「アクテムラ」の海外展開が視野に入るなど、成長時期を迎えたことから、新たにトップ企業を目指す姿を打ち出した。12年までに国内トップ3入りを達成し、さらに「トップ製薬企業」を実現させる考えだ。
同社は02年にロシュグループ入りして以来、抗癌剤「アバスチン」などの導入品でパイプラインを強化。研究面では、前臨床後期段階に17品目の自社開発品を揃え、ロシュへの導出品も6品目に上るなど、パイプラインが充実してきた。永山氏は「いよいよアクテムラを海外展開する時期に入った」と述べ、グローバル対応を強化していく考えを示した。
また、国内では癌領域でトップシェアを確保したことを受け、永山氏は「癌領域では切れ味の鋭い分子標的薬剤が増えており、営業体制もわれわれが医師を引っ張っていかないと、製品展開できない局面に入ってきた」と指摘。トップ企業の条件として、専門性とグローバルな情報提供を挙げながら、「われわれが市場をリードしていかなければならない」と強調した。その上で、09年を「カルチャーを変える年」と位置づけ、数字ではなく、行動の質で信頼される日本のトップ企業を目指していく方針を打ち出した。
同社は、12年に売上高4600億円、営業利益800億円の達成を目指す中期経営計画「Sunrise 2012」を推進しているが、永山氏は「中心の癌領域では、活動としてトップと見られなければ、ステークホルダーの期待に応えられない」と強調。全参入分野でトップシェアを達成し、12年には国内トップ3入りを目指す考えを明らかにした。現在、同社のシェアは4・3%だが、12年までに5%台後半にまで引き上げ、12年以降のトップ企業実現を視野に入れていく。
一方、ロシュの100%子会社化の可能性については、「ロシュUSAがジェネンテックに一本化され、米国はジェネンテック、日本は中外という3社の協力体制ができたので、100%子会社になることはないと思う」と否定した。