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【日本製薬医学会】医師主導臨床研究の「契約書」まとめる‐資金提供の透明化促す

2011年09月28日 (水)

 日本製薬医学会は、「医師主導臨床研究に関する契約書(JAPhMed版)」をまとめた。これまで研究者が実施する臨床研究については、製薬企業から提供を受ける「奨学寄付金」の流れが不透明で、被験者保護や利益相反の観点から問題視されていた。同学会がまとめた契約書は、テンプレートを作成し、研究費の透明性を確保するのが狙い。世界的に標準化されている契約を前提とすることで、グローバルに通用する質の高い臨床研究の推進を促したい考えだ。

 これまで、日本の研究者による臨床研究は、製薬企業から資金提供を受けて実施するものが、圧倒的多数を占めてきた。財団などを迂回して資金提供されている実態も指摘され、同学会は臨床研究に関して、「見返り」と「寄付」を明確に区別するよう提言してきた経緯がある。

 また最近、米国のサンシャイン条項、日本医学会の利益相反指針、日本製薬工業協会の透明性ガイドラインなど、製薬企業と研究者に、金銭受け取り情報の開示を求める流れが加速している。

 こうした動きに呼応し、同学会も「医師主導臨床研究に関する契約書」を公表することで、不透明な資金提供のあり方を根本的に見直し、質の高い臨床研究の実施を促すことが必要と判断した。

 今回まとめた契約書では、研究組織、研究責任者、製薬企業Aの各当事者は、研究組織と研究責任者を主導者として、自らの主導権と責任で当該研究を行うことを確認する。その上で、「当該研究が自社製品B(試験薬)に関する研究成果の蓄積に有効で、また臨床研究として医学的に重要であると考え、契約に定める条件に基づき、研究費の負担等を行う」と明記した。

 一方で、製薬企業Aの研究費負担と試験薬の提供について、研究組織、研究責任者、当該研究に参加する研究実施施設、研究参加医師に対し、試験薬が共同プロモーションや販売する製品の購入・使用・推薦・使用の手配、その他の有利な位置づけを誘引する意図がないことを相互確認することとした。

 問題とされてきた研究費については、マイルストーンが未到達の場合に、支払いを拒絶できるとしたほか、研究組織と研究責任者は、支払われた研究費を当該研究の遂行目的にのみ用いると明記。不明朗な資金流用を防ぐ内容となっている。

 利益相反についても、当該研究の実施に先立って問題がないこと、いかなる第三者との契約にも抵触しないことを表明し、関係を透明化するため、その契約に基づく製薬企業Aの研究費負担等を公開することに同意することを前提とした。

 同学会がまとめた契約書は、外資系大手製薬企業で用いられている標準的なテンプレートに準拠していることから、グローバルな大規模臨床研究にも耐え得る内容となっている。

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