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【CSOのいま】製薬企業向けPRT研修に活路‐アプシェ

2013年08月23日 (金)
小原公一取締役

小原公一取締役

 今年で11年目を迎えるアプシェは、「コントラクトMR事業」「教育事業」「採用代行」の三つが事業の柱。特に教育事業では、製薬企業MR向けの「実践的ロールプレイ研修(PRT研修プログラム)」が順調に拡大しているようだ。臨床医が参加するロールプレイ研修を通じて、MRの質向上に貢献していく。MRだけではなく、マネージャー層を含め新たな教育プログラムを開発していくと共に、自社のアプシェMRが活躍できる環境づくりにも取り組む。小原公一取締役は、「製薬会社のできない領域を見つけ、そこで新たなサービスを打ち出していくことが、CSOの一つの道」と語る。


 訪問回数を重視した医師への情報提供活動が限界を迎える中で、大量のCMRを派遣するだけのCSOのビジネスモデルでは、もはや苦しくなってきた。生活習慣病から治療満足度の低い疾患領域にシフトする中で、専門性の高いMR育成がキーとなるだろう。疾患や薬剤の知識吸収もいいが、まずはアウトプットを高める教育手法を考えなければならない。医師に対するMRのディテールの質向上が重要な課題だ。

 PRT研修プログラムでは、MRが臨床医にロールプレイを行う。営業現場さながらの緊張感を体感でき、営業能力を試される。製薬会社のニーズに応じて教育プログラムを構成しており、臨床医と第三者的な立場からみた評価者が、MRのディテーリング評価を行う。MR個人の強み・弱みの確認だけでなく、キーメッセージの浸透度なども測れる。

 他のCSOに比べても当研修の受託実績は優れており、昨年は製薬会社から二桁のプロジェクトを受注した。将来的にはサービスを広げ、ディテールの質に関する業界平均値などを算出し、MRの能力を測る指標にできればと思う。

 MRだけでなく、マネージャー層に対する教育支援にも力を入れる。業界環境が変化し、成功体験からMRに教えていくことが難しくなってきた。多くの製薬会社がコーチングに課題を抱えている。われわれが持つノウハウや様々な手法を組み合わせ、最適なツール開発に取り組み、サービスとして確立する。

 単なるMR派遣ビジネスだけでなく、多角的なアプローチが特徴となる。二段構えの戦略を実行していくことで、製薬会社からの問い合わせも増えている。権威向けに学術情報を提供するMSLや、マーケティング戦略担当、教育研修トレーナーなどの人材を当社に求めるようになってきた。いろいろな相談をしてくれる製薬会社をどれだけ持てるかが勝負になる。

 採用したCMRが長期に活躍できる環境整備にも着手している。現在、CMR200人が在籍しているが、グループ親会社「ITホールディングス」のIT技術を駆使し、人材マネジメントの強化に取り組む。MR活動報告システムやWeb会議システムを通じて、管理者がアプシェMRの活動を把握し、カウンセリングやコーチングに応用できるようにする。経験と勘に頼った属人的な手法ではなく、仕組みとして“見える化”していく。

 CSOの海外事例も参考にしていきたい。昨年11月には、英国CSOのアポディ社と戦略的提携を結んだ。先行市場である英国で、先進的なサービスを手がけるアポディから、日本での新たなサービス創出に向けた共同開発のビジネスモデルを展開していく予定だ。

 今後、長期収載品の薬価引き下げがトリガーになり、MRの流動化が起きる可能性がある。MR派遣中心のビジネスは淘汰され、新たなサービスを創出できるCSOが生き残る。愚直かも知れないが、MRの質をどう向上させるかを軸に考え、サービス・組織を強化していきたい。


この記事は、薬事日報2013年4月22日号に掲載された記事です。


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