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薬局にDX投資迫る薬機法改正

2025年03月28日 (金)

 今通常国会に上程されている医薬品医療機器等法の一部改正法律案が原案通り成立、施行されると、薬局・薬剤師の業務に大きな変革を迫るものになる可能性がある。薬局に関連した内容では、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等の必要な措置を講ずることが示されている。

 その中では、薬剤師等による遠隔管理のもと薬剤師等が常駐しない店舗で一般用医薬品の販売を可能とすることが盛り込まれている。いずれにしても、規制緩和と強化の両面から法制化される見通しである。

 これらの法制化に向けては、生活者(患者)のニーズを受けての対応措置というより、事業者(薬局)などの業務効率化を優先した動きとも取れる。中でも、薬剤師等による遠隔管理下での一般用医薬品販売では、薬剤師等が常駐しない店舗(登録受渡店舗)で医薬品を保管し、購入者へ受け渡すことが可能となる。

 これまで医薬品を設置する店舗には、管理責任者として薬剤師や登録販売者の常駐が義務づけられていたが、ある意味でこの規制が緩和されたものと言える。法案の概要説明によると、利用者はスマートフォンや受取店舗の端末などで、薬剤師等からのオンライン服薬指導を経て、受取店舗で無資格者からでも医薬品を受け取れることになる。

 販売行為自体は委託元の薬局や店舗販売業が行い、販売責任も原則、委託元が有するとされているが、これら遠隔管理下の販売が想定されるのはどのような場面なのか、あまり想像ができない。

 第一義としては、デジタル技術の活用で患者が必要な場面に必要な一般用医薬品を入手できる環境整備を実現するということなのだろう。メーカーによるOTC販売機の実証も始まっており、改正法施行後を見据えた取り組みも進められている。

 似て非なるものだが、処方箋医薬品のオンライン服薬指導もデジタル技術を活用した効率化、患者利便性の向上に向けたサービスだ。もともと国家戦略特区の枠組みの中で離島・へき地に在住する患者サービスとして始まり、現在は都市部でも実施されているという経緯がある。一般用医薬品の遠隔管理下での販売も、離島やへき地では市場性はともかく、一定のニーズが見込めるのだろう。

 今回の改正法案では、薬局機能の強化に必要な措置を講ずるものとされている。従前から言われている対物業務から対人業務へのシフトのために、薬局はDX化への投資を余儀なくされることになる可能性が高い。

 今後は処方箋医薬品、一般用医薬品を問わず、販売や服薬指導時に、対面とオンラインの両機能を持って対応できるハイブリッド型薬局としての役割が求められていく。業務の質向上や効率化を図る手段として、DXを効果的に活用していくことが一つのカギになるかもしれない。



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