在庫状況、発注業務を可視化
ファーマクラウド(本社・東京都、清水剛社長)は、「医薬品流通の非効率をなくす」をミッションに掲げ、調剤薬局向けのAI発注在庫管理システム『メドオーダー』や不動在庫マッチングサービス『メドシェア』、近隣薬局の在庫状況検索システム『メドサーチ』など自社開発のプロダクトを運営している。また、医薬品卸と共同で卸の在庫情報や発注業務を可視化するシステムの開発にも取り組んでいる。

在庫や同種同効品に対する問い合わせなどをWeb上で完結
昨今の医薬品の供給不足問題で医薬品卸の営業担当者は、医薬品在庫やメーカーの出荷調整情報などの問い合わせ業務への対応で、大きな負荷がかかっている。同社は九州・中国エリアを地盤に医薬品卸売業を展開するアステム(福岡市)と医薬品の在庫をリアルタイムに可視化するシステム「Stock Mill(ストックミル)」を2022年9月に共同開発した。
ストックミルは、医療機関や薬局が卸に発注した商品の納品予定日や、在庫・同種同効品の在庫状況を検索することが可能なポータルサイト。在庫や同種同効品に対する問い合わせなどをWeb上で完結できることで、従来は電話で対応していた卸の営業担当者の負荷軽減や医療機関の業務軽減に大きく貢献。導入前と比べて担当者やコールセンターへの電話の問い合わせ件数の削減につながっている。
ストックミルの機能は、医療機関や薬局がシステムに登録することで、サイト上で卸に対して日々の発注による注文一覧や発注商品の納品状況までを一覧で可視化できること。在庫があれば発注業務や発注した商品と注文数、納品予定数量、予定日まで確認が可能。
在庫がない場合も、その理由や納品可能な目安が文言で示されるほか、医薬品メーカーの出荷調整等の情報も閲覧でき、同種同効品についても検索して発注できる。
取引先は、ストックミルに登録することで、卸の物流センターや支店の在庫を閲覧でき、在庫情報の更新は5分に1回の頻度で常に最新の状態が掲載される。これまで電話やFAXで問い合わせを行っていた業務が、いつでも確認したいタイミングで必要な情報にアクセスできるようになった。
ストックミル導入後の状況についてアステムDX営業部によると、現在、同システムは5500軒超の医療機関で導入され、このうち約3000軒がアクティブユーザーである。昨年4月から今年2月までで医療機関の約80%がログインしているという。
また、薬局などからの問い合わせの電話が月に約10万件あったものが8万件まで大きく改善、毎月約5%ずつ減少している。特にITリテラシーが高そうな都会だけでなく、利便性が悪い遠隔地でも使われているという。営業担当者は、これまでの訪問業務が不要となり、その時間を他の業務に使うことができ業務の効率化につながっている。
同社ではこれからも医薬品卸に寄り添ったシステム開発を行い、医薬品卸のみならずその先の薬局の利便性も高めていく方針だ。
ファーマクラウド(Stock Mill)
https://www.pharmacloud.co.jp/