業務効率化を細やかに支援‐生成AIで安全性データ活用も

左から神田氏、平氏、松本氏
30年以上にわたり、国内製薬企業のファーマコビジランス(PV)部門向けに、顧客の使いやすさを追求した業務支援システム「ClinicalWorks/ADR」を提供してきたDXCテクノロジー・ジャパン。2024年からは生成AIを用いた周辺システム「PV業務支援ソリューション」の開発にも取り組み、顧客支援体制をさらに進化させている。
国内製薬企業35社以上が利用する同社の「ClinicalWorks/ADR」(CWA)は、安全性情報管理や有害事象の症例評価などの業務の効率化を支援するシステムだ。長年にわたり顧客の業務の深部まで入り込み、顧客の声を丁寧にくみ取って細部まで作り込みを重ね、きめ細やかな仕様を実現させてきた。
「使い勝手の良さを評価いただき、四半世紀以上ご利用いただいているお客様も数社おられる」とCWAの責任者を務める平清氏は明かす。
顧客からの評価が高い仕様の一つが、薬単位でのアクセス制御。薬の機密性に応じた社内のアクセス権限分けはもちろん、安全性情報の収集業務を委託した社外のCROに契約対象の薬の情報に限定した閲覧を許可したり、子会社に対して担当する薬の情報のみを開示するといった設定も可能だ。
このアクセス制御により、CROが医師から回収した調査票などの安全性情報を直接入力し、社外から安全な通信経路を経由してクラウド上の閉域網にあるCWAに送信、保存することも可能とした。CROには、顧客(製薬企業)が保有するCWAのユーザライセンスが割り当てられる。
このほか好評なのが、顧客が画面上で自在にカスタマイズできる帳票機能だ。CWAに登録された全ての安全性データを対象として、発生事象や薬の投与歴といった条件を指定し、エクセルファイルにリスト出力したり、病院向けのお知らせ文書をワードファイルで作成したりできる。国への提出を要する情報については、定型のリスト出力機能が標準装備されている。
24年にはCWAの安全性データを生成AIで活用するPV業務支援ソリューションの開発にも着手した。「入手情報の症例データ化」と、症例評価報告のための知見を得る「PVバーチャルアシスタント」の二大機能で構成され、来年春のリリースに向けて開発中だ。
PV部門では、ICHが定めるE2Bフォーマットに適合するよう、手書き情報を含む多様なデータを整理し、報告項目に当てはめる作業を行うが、現状は大手製薬企業でも、人が目視で文章を読み取り関連性を判断し、手入力でこの作業を行っていることが少なくない。
同ソリューションを活用すれば、OCRで読み込んだ画像データから、生成AIが文字を高精度に認識してテキストデータに変換し、意味を解釈してE2B構造に自動で当てはめてくれる。
PVバーチャルアシスタントは、安全性データに対してAIが回答を生成するソリューションで、例えばRMP(医薬品リスク管理計画)を生成AIが読み取り、そこに定義されたリスクを確認するような応用も可能だ。
同ソリューションの開発を担当する神田夏氏によると、同社は顧客から連絡を受けて約2週間で修正リリースを行うなど「問題への迅速な対応」を心掛けておりサポート体制も手厚い。CWAという自社製品のデータ構造を熟知しているからこそ、迅速な対応が可能となる。
本事業を統括する松本彰久氏は「進化の速い生成AIのメリットをお客様が享受できるよう、ビジネス活用の手法の提案も含めスピーディーに対応していく」と語った。
DXCテクノロジー・ジャパン(ClinicalWorks/ADR)
https://dxc.com/jp/ja/cp/industries/life-sciences/clinicalworks-adr