日本に初めての女性首相が誕生した。石破茂首相が9月に辞意を表明したことから自民党総裁選が行われることとなった。党内手続で時間を要したが、最終的には党内の力関係が影響して高市早苗総裁が誕生した。これが要因かどうかは明らかになっていないが、自民党と公明党が袖を分かち、26年続いた連立政権が崩壊した。その後の政権奪取に向けた各党の駆け引きは激しかったが、急きょ、自民党と日本維新の会が連立合意して首班指名選挙に臨んだ。
高市氏は衆参の選挙を経て首班に指名され、1885年の内閣制度創設時に初代内閣総理大臣として伊藤博文氏が任命されてから140年後、第104代目で初の女性内閣総理大臣の誕生となった。
物価高対策を優先事項に据えている高市氏は、所信表明演説で「国民の命を守り、安心して必要なサービスを受けてもらうためにも、赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなしである。診療報酬・介護報酬については、賃上げ・物価高を適切に反映させていくが、報酬改定の時期を待たず、経営の改善および従業者の処遇改善につながる補助金を措置して、効果を前倒しする」と言及し、医療・介護現場の経済的逼迫、人材の処遇改善へ迅速に対応する意向を示した。
また、健康医療安全保障においては、税と社会保障の一体改革議論を進めていくほか、「政党間合意も踏まえ、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しや電子カルテを含む医療機関の電子化、データヘルス等を通じた効率的で質の高い医療の実現等について、迅速に検討を進める」と表明した。
4日、高市氏の重要政策の一つに位置づけられている「日本成長戦略本部」を設置し初会合を開催した。同本部はリスクや社会課題に対し、先手を打った官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラを提供することにより、さらなる日本経済の成長を実現することを目的として設置されたもの。本部長は首相、副本部長に官房長官と日本成長戦略担当相が就き、全ての国務大臣が本部員として構成される。
初会合では「危機管理投資」「成長投資」の17戦略分野と八つの分野横断的課題が提示された。戦略分野はAI・半導体をはじめ、量子、航空・宇宙、デジタル・サイバーセキュリティ、コンテンツ、防衛産業、情報通信など多岐にわたるが、医療・医薬関連としては合成生物学・バイオ、創薬・先端医療が掲げられている。
担当相には経済産業相、内閣府特命担当相(科学技術政策)/デジタル相が任命され、厚生労働相は分野横断的課題における労働市場改革の担当となった。今後、本格的な議論が行われる予定だ。ぜひ、初の女性首相となった矜持と持ち前の手腕を発揮し続けて、自らが描く政策を実現していってほしい。













