治験時に製薬企業が医療機関に供給する検査キットが余り、大量に廃棄されることが課題になっている。資源の無駄だけでなく、医療機関側で検査キットの管理や期限切れの把握、廃棄を行うために余計な労力と費用が生じることも問題だ。業界全体で課題解決への意識を高めつつ、製薬企業が医療機関へ過剰な検査キットを送らない「入口管理」を強化するなど、具体策を議論し、実行に移す必要がある。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が5月に公表した2025年度「治験エコシステム導入推進事業活動報告書」では、過去3年以内に検査キットの自動発注で不要な資材が搬入された経験を持つ医療機関は、回答76施設の66%に当たる50施設に上った。
回答した医療機関からは「自動発注により、使用予定がない検査キットが搬入される」「治験が中止・終了した後も、自動発注が止まらずにキットが搬入される」「外注検査キットの搬入はCRAのコントロール下ではなく、ベンダー主導で一方的に行われる」などの声があった。
先日、京都市で開かれた「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」でも、この問題への対応が論点になった。多数の治験を受け入れている国立がん研究センター中央病院の臨床研究コーディネーターは、月間約300kgの検査キットを廃棄している現状は「この数年間変わっていない」と訴えた。
製薬企業にとって、検査キットの不足で治験の円滑な実施に影響が生じることは最も避けたい事態だ。治験全体の費用に占める検査キットの費用は微々たるもので、コスト意識は働きにくく、多めに供給する判断に傾いてしまうのだろう。しかし、そのことが過剰供給を放置して良い理由にはならない。
過剰供給は、世界同時開発の治験で起こりやすいようだ。PMDAの報告書でも「過剰搬入は、グローバルベンダーによる世界共通の供給体制や不足リスク回避を重視した運用に起因するものであり、本事業のみでの解決は困難」と記された。
関係者の立場によって課題解決の姿勢が異なる中、あり方会議で外資系製薬企業の日本法人の担当者は、現実的な対策の一つとして、初回発注と自動供給の仕組みの見直しを提示した。
製薬企業は、初回発注や自動供給において、症例数や医療機関への訪問スケジュールを考慮した数量設定や、最低・最大在庫量の設定、有効期限の監視などを実行できる余地がある。採血針などの資材の提供を任意とし、標準では同梱しない運用も可能だ。
実際、こうした取り組みは一部の企業で行われているものの、その担当者は「社内でも、このような課題があることに気づいていない人たちが大半」と語った。海外を含む製薬業界全体でこの課題に対する認識を深め、実行可能性の高い施策を一つずつ着実に進めることが必要だ。

























