オーガナイザー
荒井緑(慶應大理工)
伊藤寛晃(東大院薬)
文科省科研費学術変革領域(A)「潜在空間分子設計」が本年度から発足した。天然物と合成化合物ライブラリーという二つの化合物リソースを活用した生物活性分子の発見・同定は、ケミカルバイオロジー研究推進の駆動力となってきた。本領域では、これらに続く第3のリソースを提案する。この第3のリソースは、天然物の生物活性データをもとに深層学習技術によって構築される化合物潜在空間(Latent Chemical Space)からデジタルデータとして得られ、強力な有機合成技術で実空間に具現化されるものである。天然物と情報学研究との融合により生まれる化合物潜在空間を用いて、データ駆動型ケミカルバイオロジー研究を実現するため、ケミカルバイオロジー、情報科学、有機合成の3班構成による「サイバー生物活性分子デザインラボ」を始動した。
本シンポジウムでは、本学術変革領域の各構成研究として、荒井によるケミカルバイオロジー研究、大上によるAI解析と分子構造最適化、伊藤によるライブラリー分子合成を紹介し、領域内の融合研究例として塚野がAI駆動による生物活性天然物の構造単純化について紹介する。
(荒井緑)