テルモは14日、医薬品開発製造受託(CDMO)企業の中国のWuXi Biologics(ウーシー・バイオロジクス)と、同社がドイツ に有する薬剤製品工場を、1億5000万ユーロ(約246億円)で買収することで合意したと発表した。
テルモは、薬剤に適した素材を用いた薬剤充填用シリンジ等の容器や投与デバイスを開発すると共に、高度な製造技術を活かした医薬品と医療機器のコンビネーションプロダクトのCDMO事業を手がけており、同事業のグローバル化を今後の成長戦略の一つとして位置付けている。
今回の買収で取得する薬剤製品工場を、同社として初となる海外のCDMO生産拠点として活用することにより、生産キャパシティの拡充やグローバル対応力の強化を図り、CDMO事業のグローバル展開を加速させていく。
ウーシー社から取得する薬剤製品工場は、GMPに準拠した最新鋭の設備や高度な専門性を持つ人財、生産ノウハウおよび生産実績を有している。テルモは今後、これらの資産を活かして同工場においてプレフィルドシリンジ製剤やバイアル製剤の開発・生産を開始し、バイオ医薬品の急速な成長に伴い欧米を中心に高まっているCDMOの需要に対応していく。
テルモは現在、甲府工場、富士宮工場、山口工場にCDMO生産拠点を設けている。2023年12月に山口工場の生産ラインを拡充したほか、25年度中に竣工予定の甲府工場の新棟にも新たな生産ラインの導入を計画するなど、事業の拡大に合わせて生産キャパシティを継続的に強化している。新たに欧州にCDMO生産拠点を持つことで、国内外の製薬会社からのニーズによりきめ細やかに応えるためのグローバルオペレーション体制の強化を図っていく。
今回の買収について、テルモ代表取締役社長CEOの鮫島光氏は、「今回の薬剤製品工場の買収は、当社のCDMO事業の競争力強化に向けた重要なステップです。この工場の高品質で安定した生産オペレーションと、それを支える優秀な人財をテルモと融合することで、CDMO事業のグローバル対応力をさらに高いレベルへと引き上げることができると確信している」と述べている。
取得する薬剤製品工場の所在地は、ドイツ連邦共和国ノルトライン・ヴィエストファーレン州レバークーゼンで、敷地面積は1万3000m2、従業員数は150人。