シスメックスGaudi Clinicalは13日、再生細胞医療を行う医療機関が患者に対し、より安全かつ質の高い治療を提供するために細胞製造の品質管理の視点から共同で支援することを目的とした業務提携および資本提携に関する基本合意書を締結したと発表した。
再生細胞医療は、生命予後に関係する疾患の治療以外にも、患者のQOL向上を目指す医療として注目され、社会実装され始めている。しかし、原料細胞の輸送や投与前の調整、治験データの収集・整理などが非常に煩雑な工程に加え、それらを担う人材育成が難しいことなどが、普及を阻む課題となっている。
これらの課題解決に向け、Gaudi Clinicalは、日本人に対する安全性および妥当性が確保された細胞を、厳格に管理された細胞培養加工施設(CPC)で製造し提供することを可能としている。加えて、据置式クリーンブース(キオスク型細胞調製室)をクリニックの側に配置し、専任の再生医療コーディネータが各医療機関を全面的にサポートし、患者のかかりつけクリニックで再生細胞医療を受けられる環境整備を進めると共に、医療機関の業務負担軽減にもつなげている。
シスメックスは、50年以上にわたり検体検査領域で培った技術やノウハウを活用し、再生細胞医療における新たな事業創出に取り組んでいる。2024年には全自動免疫測定装置 HISCL5000/HISCL800を用いた再生細胞医療向けの蛋白質を測定する研究用試薬を発売している。
このほかにも同社は、アカデミアや企業と協業し、同社が保有する検査機器および試薬は再生細胞医療向けの品質管理試験として活用できる可能性が示唆されており、科学的に治療効果の検証を行う上で重要だと考えられる細胞の機能や品質の評価に寄与することが期待されている。
今回の提携は、再生細胞医療を行う医療機関が科学的に妥当な治療の提供ができるよう、両社の強みを融合し、細胞製造における品質管理の視点から、患者にとって安全・安心な治療機会の創出を目指していく。