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アジアの治験に参画を‐総合機構の治験問題検討委が中間報告

2006年10月05日 (木)

 医薬品医療機器総合機構「治験問題検討委員会」の中間報告がまとまり、3日の総合機構運営評議会に報告された。医薬品の治験に対しては、国際共同治験を推進するための治験デザイン、データの考え方などの明確化、ファーマコゲノミクスなど個人差に注目した評価手法の導入などを、具体的に対応すべき課題として提示した。また、医療技術が急速に進歩していることから、先端的な医療技術に対する総合機構としての対応策にも言及した。

 総合機構は昨年8月に「治験問題検討委員会」を設置、総合機構として取り組むべき問題について検討を続けてきた。今回まとめた中間報告は、特に迅速に対応する必要のある方策を中心に課題を抽出したもの。

 内容は医薬品と医療機器に大別されている。医薬品については、治験データの評価のあり方、評価手法の再検討といった視点から、[1]国際共同治験の推進[2]アジア地域における治験の位置づけ[3]ファーマコゲノミクスなど、個人差に注目した評価手法の導入[4]承認条件の設定や市販後対策との連携を視野に入れた評価[5]治験相談体制の充実――という5点を課題として提示した。

 【国際共同治験】に関しては、▽日本が国際共同治験に参加するため、治験環境・条件を改善する▽審査等においても国際共同治験に係る治験デザイン、治験データ等の考え方を明確化する――ことが重要とした。さらに国際共同治験では、日本人に対する適正用量の確認が必要なデータのあり方が焦点になっているが、個々の医薬品の特性や薬効群の違い、アジア人のデータ数等で異なることから、試験のデザインはこれらを十分に勘案して、国内外の症例数を決めることが必要との基本的考えを示した。

 また、国際共同治験の治験実施計画書には、日本で実施する場合に考慮すべき要因を反映させることが必要と指摘。既に今年度から国際共同治験に関する治験相談の優遇を実施しているが、加えて審査員の質向上ための教育制度充実や、人員の補強も求められるとした。

 【アジア地域での治験データ】を、ブリッジング試験なしで受け入れが可能になるように、一定数の日本人を含むアジア地域の治験を、国際共同治験として推進すること、日本人のデータ数のあり方などを科学的に検証すると共に、総合機構も治験実施計画書作成の初期段階から治験相談等を通して、関係企業を支援していくとの方向を打ち出した。アジア地域の治験に日本が参加することにより、アジア各国の医薬品規制当局と、治験、審査、GCP調査等で交流が深まるとの期待も示した。

 【ファーマコゲノミクス】については、相談、審査体制を質・量とも強化する必要性を指摘。同時に企業に対しても、ファーマコゲノミクス手法による解析を行ってデータの蓄積に努めること、さらに治験相談等を通じた積極的な相談・助言も求めた。

 【承認審査】の関係では、承認前に検証すべき事項と市販後の調査で対応可能な事項を整理することを提案。「市販直後調査等による対応」「承認条件の活用」などにより、承認審査に必要なデータの過重負担をなくし、開発・審査期間の短縮につなげるべきとした。

 そのため安全対策部門を強化し、審査部門と安全対策部門との連携を強め、充実した市販後対策をとることが必要とした。具体的には、▽承認条件の遵守状況を確認できる体制の構築▽承認条件を付ける基準の明確化――などの検討を要請した。

 【治験相談体制】についても、治験相談の全需要に対応するには、担当数の人員増強が必要としたほか、国内治験環境の改善に関しては、▽GCP運用の周知、相談体制の充実、関連文書の簡素化▽GCP実施調査の充実強化▽GCP書面調査の実施方法の改善――などに取り組むべきと指摘した。

◇先端医療技術への対応も

 中間報告ではこのほか、医療技術の進歩に対応するため、先端的な医療技術に対する総合機構の対応も検討した。

 現在、遺伝子治療、再生医療等の生命科学分野や先端医療分野で技術革新が進み、医薬品や医療機器の研究・臨床応用も図られていることから、治験相談や迅速・的確な審査に対応できる人員を、質・量の両面で早急に充実させることを明記した。

 さらに、有用な医療技術を現場へ迅速に提供するため、▽研究者や企業関係者への治験相談等を通した詳細な指導▽経験の蓄積▽各種ガイドラインの準備▽各種規制や製造販売後安全対策の改善、強化、簡素化などの見直し▽FDA、EMEAとの人的交流を含めた緊密な関係構築▽患者や医療関係者への情報提供義務づけ▽市販後のフォローアップを承認条件とすることを前提とした審査――などを取り組む方策として掲げた。



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