民主党が衆議院では過半数を超えたが、参議院では過半数を割っており、“与党・自民党”とは別の意味で、政権のアキレス腱になっている。民主党は既に小沢氏を幹事長に充てるなど、来年夏の参議院議員選挙では過半数超えに向け猛進するだろう。当面、安定した国会運営を行うため、「規定路線」の社民党、国民新党との連立政権樹立の協議が行われ合意した。
福島・亀井両党首の入閣を了承、「閣内の政策決定システム」を前提にした3党連立という民主党の政権運営が動き出した。閣内への抑え込み、埋没を警戒する社民・国民新の両党が政策決定にどの程度関与できるのかという反発がある一方、大政党・民主党のプライド問題も見え隠れした。
3党の合意文書では、特に政策協議機関、外交・安保、郵政見直しなど、民主党が譲歩した形となった。今のところ、医療・社会保障関係に関しては、特に対立軸などは表面化していないが、今後閣内対立の可能性はなきにしもあらずだ。
いずれにしても16日の首相指名、組閣に向けた新政権発足準備、その後の政権運営ともに“鳩山次期首相”がいうように「楽観的」にまとまるものなのか、腕の見せどころだろう。
民主党の歴史的大勝利を踏まえ、医療界もコメントを次々に発している。日本薬剤師会では、与野党逆転について「誠に大きな政界の変革」と称したが、「医薬品の適正使用や供給を通じて、より安全な薬物療法の提供に今後とも貢献したい。今後の動向に注目したい」と日薬の立場を改めて示し、対応方針には言及していない。
一方、数年前から支持政党をめぐって、地方と中央との温度差が露呈していた日本医師会では、「新たに発足する政権与党に対し、今後一層強力な政策提言を行う」とし、積極的なロビー活動を展開する方針を明確にした。
日医では、選挙前に示されていた民主党のマニフェストに関して、一部評価する見解を示していた。今回、民主党が政権奪取したことから、次期参院選も視野に“自民党支持”団体から、“与党支持”団体へと大きく方針転換する可能性を秘めているといえよう。
少なくとも、日医では前回の参院選で、内部に意見対立があったものの、従来通りの路線を踏襲し、自民党候補者の武見敬三氏を落選させている。これほどまでの強風でなかったにもかかわらずだ。
日薬でも同様に、「自民党推薦の藤井基之氏」を再選させることはできず、来年7月末頃に行われる参院選での当選を目指し、地道な活動が続いている。そして、先の日本薬剤師政治連盟総務会では「既定路線」のまま、再選を目指すことを確認した。
自民党はこの10年、公明党との連立の中で政権が維持できたが、今回の惨敗を受け、公明党党首は代わり、関係も変わる。多くの実力者が落選し、「首相指名」にも迷走を続け「白紙」投票は避けたが、党の再生はなるのか。参院選がその一歩だが、厳しい情勢だろう。
混沌とした中、先を見通すことはなかなか難しい。ただ、職能を守り発展させる上で、政権与党との信頼関係作りは必須。財源確保策も含め、専門家の立場からの政策提言も望まれる。新政権は多くの“白紙”を抱える。何色に染まるのか。ロビー活動も重要になっている。