日本薬剤師会は、全国の河川で実施した水質調査「生活環境水域中の医薬品調査」の結果を公表した。カルバマゼピン、イブプロフェン、スルファジアジン、スルファメトキサゾールの4物質を対象に、人体と生態系への影響を分析した。いずれの河川からも、人体に有害な量の対象物質は検出されなかったが、スルファメトキサゾールの検出量については、生態系に影響を及ぼす可能性が示唆されている。
調査は、日薬の環境衛生委員会が2005年度から、地域保健と環境保全活動への貢献を目的に、各県薬剤師会と関連する試験センターの協力を得て実施している事業。今回、06~08年度の調査結果を、報告書としてまとめた。
各河川において、水道水源に近い上流(A地点)と、下水処理場に近い下流(B地点)の2地点から水を採取し分析を行った。06年度はA地点25カ所・B地点24カ所、07年度はそれぞれ25カ所・24カ所、08年度は23カ所・点22カ所から水を採取した。
スルファメトキサゾールについては、B地点で06年度は5カ所、07年度6カ所、08年度5カ所から、基準を上回る濃度が検出された。そのため報告書では、生態系への影響を示唆すると共に、薬剤耐性菌の出現を助長する可能性を指摘している。
また、対象の4物質が全て検出されたのは、06年度がA地点1カ所・B地点5カ所、07年度がB地点2カ所、08年度がB地点1カ所となっている。
物質別にみた場合、最も多くの地点で検出されたのはカルバマゼピンで、以下スルファメトキサゾール、イブプロフェン、スルファジアジンと続く。いずれの物質も、B地点の濃度がA地点よりも高い傾向にあった。
カルバマゼピンが多く検出された理由について報告書は、他の3物質に比べ、一般的な下水処理場(活性汚泥処理等)での除去率が低いためとしている。
日薬では、今年度もタミフルを対象に調査を実施しており、今後、その結果を報告書としてまとめていく予定だ。