日本製薬工業協会は、東証1部に上場する製薬協加盟26社の2010年3月期決算の概況をまとめた。売上高は、大手企業に円高や主力品の米国特許切れのマイナス影響があったものの、国内で薬価改定がなかったことに加え、海外企業の買収が寄与し、微増収となった。利益面では、前期に海外企業の買収に伴うインプロセス研究開発費を計上した反動で、営業利益、経常利益、純利益はいずれも増益を確保した。ただ、インプロセス研究開発費の影響を除いた実質の営業利益は、約4%の減益となった。
売上高全体は、前期比2・0%増の7兆4898億円。増収19社、減収7社となった。国内売上は、主力品が伸長したことに加え、新型インフルエンザの流行に伴う関連薬剤が大幅な売上増となった。しかし、非医薬品事業の売却・連結除外などにより、1・5%増の4兆8211億円と微増にとどまった。
一方、海外売上は、円高に加え、米国で主力品の一部が後発品発売の影響を受け、大幅な売上減となったものの、海外企業の買収に伴う売上増で吸収し、3・0%増の2兆6686億円。海外売上高比率も0・3ポイント増の35・6%と続伸した。
営業利益は、前期に海外企業の買収に伴うインプロセス研究開発費を計上した影響で、8・2%増の1兆3114億円。増益16社、減益10社となった。ただ、インプロセス研究開発費の影響を除いた実質の営業利益は、約4%の減益となった。
研究開発費も、前期に発生したインプロセス研究開発費の反動で、6・1%減の1兆3271億円と減少したが、その影響を除く研究開発費は約5%増となった。実質的には、国内で薬価改定がなかったにもかかわらず、微増収、減益の厳しい決算となった。
なお、協和発酵キリンは決算期変更のため、10年3月期は9カ月決算としている。
11年3月期予想は、国内での薬価改定に加え、引き続き海外で円高や後発品の影響拡大を想定しているものの、海外企業の買収で売上減をカバーし、売上高は1・6%の微増を確保する見通し。ただ、利益面では、研究開発費や販管費の増加により、二桁減益を見込んでいる。