医薬品メーカーで、これまでも健康食品を製品ラインナップに加えるところはいくつかあったが、昨年から今年にかけて目立っているのが、通信販売事業を充実・強化させるケースである。そして最近では新たに通販に参入する動きも相次いでおり、先月には直販メーカーの代表といえる大正製薬が通販専用に開発したスキンケアブランドで、新たな事業領域に踏み込んだ。
通販事業が充実している医薬品企業としては小林製薬、ロート製薬、森下仁丹などがある。小林製薬は充実したサプリメント群、ロート製薬はスキンケアを中心とした幅広い製品群、森下仁丹はダイエット関連を含めた各種サプリメント群が特徴といえる。このほか日本ケミファも昨年から通販ルートの開拓に着手、健康関連商品の品揃えも充実してきた。 今年になって有力企業が通販に参入してきた。3月から久光製薬がダイエット食品シリーズ等の健康食品等の通販事業をスタートしたほか、同じく3月中旬からは大正製薬が現代女性を応援するための新スキンケアブランドをもって通販事業をスタート、ダイレクトショッピングの専用サイトも開設した。そして今月1日からは養命酒製造がインターネット通販サイトによる健康関連商品の販売をスタートしている。また日本新薬では3日付で健康食品を通信販売する子会社を設立し、今後は健康食品分野を更に強化していくことを明らかにした。 ここ10年近く、大衆薬事業の伸び悩みが続いている。これに対して伸びているのが特定保健用食品を含めた健康食品市場で、その規模は大衆薬市場を上回るともされる。更にはスキンケア、オーラルケアなどの健康・美容関連領域の商品が好調に推移して市場を伸ばしている。主力である医薬品領域を更に強めることは言うまでもなく、医薬品メーカーとして培ってきたノウハウ、独自技術を生かし、好調に推移する健康食品や美容関連市場で浸透を図ろうというのが各社の狙いとするところだ。 どの領域でも市場は生活者のニーズ、ウォンツを反映する。健康・美容関連市場が伸びを見せているというのは、いわゆる「病気を未然に防ぎたい」「健康で楽しい生活を送りたい」「いつまでも美しくありたい」といった欲求の現れにほかならない。今後は高年齢層に向かう団塊世代の健康に対する意識の高さも加わって、こうした健康関連領域に積極的に乗り出していく企業が増えていくのは間違いない。 各社が通販事業に取り組む背景として、販売チャネルの変化も見逃せない。かつて健康食品は訪問販売が4割近くあった。最近、生活者が自ら進んで選んでいるチャネルは二つあり、一つは「薬局・薬店、ドラッグストア」であり、きっちりと説明を受けて買いたいということ。もう一つが「通信販売」であり、特に通販商品の中で健康食品が高い伸びを示している。 大正製薬では新たな事業の取り組みに対し「通販事業で直に生活者の商品に対する反応も探ってみたい」とする。生活習慣病の予防や日常の健康生活に向けた商品群への強い期待に、どう応えていくか。医薬品メーカーという責任ある立場でのチャレンジがどう推移していくか、注目していきたい。相次ぐ健康関連領域への進出
2006年04月07日 (金)
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