衆院総選挙が4日に告示され、投開票の16日まで激しい選挙戦が繰り広げられる。今回は過去最高の1504人が立候補し、多くの政党が乱立するなど、2大政党制を目指した小選挙区制度下では想定外の事態となった。民主政権の混迷が要因なのだろう。
前回の総選挙から、マニフェスト選挙と呼ばれ、各政党が選挙公約を具体的に示し、戦うようになった。前回の公約が達成できたかどうかは疑問符が付くが、今回も各政党が公約を示している。
主な政党の公約を社会保障制度改革や医療・介護などに焦点をあて大まかに見てみると、まず与党・民主党は、従来から掲げている年金の一元化などは、3党合意に基づいて設置された社会保障制度改革国民会議の議論を経た上で、実現を目指す。医療や福祉の分野で働く人を増やすために、再生医療や介護ロボットの活用など、新たな取り組みを進めて、さらに280万人以上の働く場を作る。
最大野党の自民党は、社会保障について「自主」「自立」を第一に、「共助」「公助」を組み合わせ、受益と負担の均衡がとれた持続可能な制度を目指していく。国民が安心できる持続可能な医療の実現のため、▽医師の科目別、地域別偏在を是正すると共に、必要な医学部定員の確保▽臨床研修医制度の見直し▽総合医の育成▽救急医療の機能充実▽かかりつけ薬局の充実・強化▽医療人材を活用したチーム医療の推進――などを掲げた。そのほか「薬局・医療機関の薬剤師の機能、役割の拡充と積極的活用」「製薬産業に係る成長戦略推進」などにも取り組む。
公明党は、健康・医療産業の革新で経済成長を図るため、日本発の革新的な医薬品、医療・介護技術を生かした機器の発明・開発を推進していく。また、医薬品等の海外販売や「医療ツーリズム」を推進すると共に、アジア市場を取り込むための共同臨床研究、治験拠点の構築などを推進していく。
第3極の中心と目される日本維新の会は、社会保障を賢く強くするため、社会保険制度の受益(給付)と負担(保険料)の明確を図ると共に、高齢者向け給付の適正化にも取り組む。医療・福祉の成長産業化のために、▽診療報酬点数決定を市場に委ねる制度へ▽混合診療の解禁――を例示している。
日本未来の党は、最低保障年金と所得比例年金の構築により年金の一元化を図るほか、介護制度の充実、国民皆保険堅持による医療保険制度の一元化などを掲げている。
みんなの党は、歳入庁設置などにより持続可能な社会保障制度の構築を目指す。医師数を人口1000人当たり3人に増やす。医療等のIT化を推進し、医療費の無駄削減の徹底、後発品採用による薬剤費節減を目指す。
各党、そんなに違う公約とは思われないが、その手法は様々だ。公約を見、人を見て投票に出かけたい。