ここ数年、一般生活者にとって薬を取り巻く使用環境が変化している。医療用医薬品に関しては、お薬手帳による管理がより勧められるようになり、一般用医薬品ではリスクに応じた分類や登録販売者の資格制度、そして今年6月からのインターネット販売の解禁がある。
こうした医薬品使用に関する話題は、ニュース番組などでもずい時取り上げられはするものの、薬業界関係者が思っているほど理解されていない面があるようだ。くすりの適正使用協議会が6月にインターネットで実施した、全国の20歳以上の一般男女900人に対する意識調査では、医薬品を購入・使用する上で知っておくべき基礎知識について、実に多くの人が“間違った認識を持っている”ことが示された。
ジェネリック医薬品(GE薬)とOTC薬は「同じではない」としたのは21%で、約8割の人はGE薬とOTC薬の違いを理解していない。OTC薬に関しては、第1類医薬品は第3類医薬品よりも「副作用などに注意して使用する必要がある」ことを19%しか理解しておらず、OTC薬の分類やその意義を分かっていない人が多い。さらに、健康食品やサプリメントは医薬品とは違う(含まれない)ということを、約3割の人は理解していなかった。
薬の基本的な飲み方については、TVや新聞、雑誌などでも目にする機会があるだけに、お茶やコーヒー、お酒で飲んではいけないということを83%の人は知っていた。しかし理解はしていても、そのうち約6割の人は、水以外の飲み物で服用した経験があるという。同じように、自分が病院でもらった処方薬は家族に譲渡してはいけないことを9割近くの人が知っていながら、約4割は譲渡した経験があると回答している。
本格的な高齢社会を迎え、自分の健康は自分で守るセルフメディケーション(セルフケア)の考え方が、より重要になってきている。確かに各種アンケート等では、セルフメディケーションという言葉の認知度が年々高まりを見せていたり、「OTC薬を選択・購入する際には専門家の適切なアドバイスがほしい」などの声が多く聞かれる。しかし、実際の店頭でこれが実現できているかである。
日本一般用医薬品連合会や在京薬業団体、薬剤師会では今年も、医薬品の正しい知識や使い方、薬剤師等の役割に関する正しい認識を広く浸透させることを目指した「OTC医薬品の普及啓発」イベントを9月12、13の両日、東京新宿の西口広場で予定する。また、10月には恒例の「薬と健康の週間」が全国的に開催される。
先の調査からも、まだまだ一般用医薬品の販売制度改正が十分に理解されていない。さらに、最近は危険ドラッグが関心を集めていることもある。今秋の啓発行事等では、改めて医薬品の“本質”を理解してもらうための内容が強く望まれよう。