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流通改善ガイドラインを受けて各セクターはどう行動したか?

2018年11月6日 (火)

医薬品流通未来研究会が第4弾提言

 医薬品流通未来研究会(藤長義二代表)はこのほど、4月から始まった流通改善ガイドラインの影響と現状について、[1]データは物語る[2]医薬品メーカーの動向[3]医療機関・保険薬局との価格交渉の動向[4]医薬品卸の動向[5]頻繁な価格交渉についての考察――の4テーマに沿って議論した内容を報告した。

 同提言では、医療用医薬品の流通における川上、川下での課題、卸自身の問題を提起しているほか、将来への提言として、川上では「医薬品卸の原価管理を困難にするアローアンスの見直し」「流通コストの削減に寄与する包装形態への移行」を、川下では「医薬品卸の価格決裁権限の明確化」「利益マイナスの取引に対する医薬品卸の姿勢」「契約に基づく保険薬局との取引価格明示化」「流通コストの明示と公平な費用負担」を、さらに行政に対しては「未妥結減算制度における価格妥結期間の通年適応」「保険薬局ボランタリーチェーンにおける調剤基本料の見直し」――を訴えた。

 薬事日報本紙には11月9日号に掲載予定。


医薬品流通未来研究会代表 藤長 義二

(連絡先:yosh6@me.com

 「医薬品流通未来研究会の第4回提言を行いたい。

 今回は、厚生労働省が「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」(以下流通改善ガイドラインとする)を策定し、2018年4月1日よりこれが適応された中での現状を

 (1)データは物語る。

 (2)医薬品メーカーの動向

 (3)医療機関・保険薬局との価格交渉の動向

 (4)医薬品卸の動向

 (5)頻繁な価格交渉についての考察

とテーマを分け議論した内容をそのまま報告することとした。

〔(1)データは物語る〕

 医薬品卸大手5社のデータを集約した資料を掲載する。

表

 5社平均として原価は上昇しており、概ね

 対2017/4-6比:0.72%

 対2017/4-3比:1.34%

 悪化しているものと思われる。

〔(2)医薬品メーカーの動向〕

 本年、発出された流通改善ガイドラインは各医療機関だけでなく、医薬品卸、医薬品メーカーの全ての流通関係者が対象となっており、医薬品メーカーに対しては、「川下取引の妥結価格(市場実勢価)水準を踏まえた適切な一次仕切価の提示に基づく適切な最終原価」「割戻し(リベート)については流通経費を考慮した卸機能の適切な評価」との通知がなされている。しかしながら、実際には薬価改定以降の医薬品卸に対しての仕切価・最終原価の提示は各医薬品メーカーの平均値としてはガイドラインとは反した設定となっており、一次仕切価・割戻し(リベート)を含む最終原価は共に上昇となり、ガイドラインを遵守した対応とは言い難い内容となっている。

 医薬品卸と川下である医療機関・保険薬局との価格交渉では、単品単価取引契約や医療用医薬品の価値をふまえた交渉が行われたが、医療機関・保険薬局との間において改善された薬価差の多くは医薬品メーカーが吸収する形となった。昨年度の医薬品卸の営業利益率:0.93%(日本医薬品卸連合会発表数値より)に対して、最終原価が1.0%以上の悪化となった今年度は流通改善ガイドライン遵守と並行し、医薬品卸にとっては後がない危機的環境でもあった。

 また、薬価の原価計算方式に流通経費が含まれている事は周知の事だが、医薬品メーカーが医薬品卸に対して提示する最終原価が流通経費に満たないケースは昨年度より増加傾向になっている。医薬品メーカーとしても薬価改定の影響を受け、製品価値の維持や製品原価等の背景はあるが、上記と同様に医薬品卸にとっては自社の流通経費すらもらえていない医薬品メーカーの製品を販売していくのは価格交渉において自社に利益を残すという選択肢すらないのが実情である。

 4月以降、医薬品メーカーとしては「流通改善ガイドラインを邪魔しないように」とのことで、市場競争を煽る要因の1つでもあった規模を追うアローアンスを無くす方針をとってきたが、それは今年度の医薬品卸への流通経費の削減にも直結してしまった。一方で、医療機関・保険薬局と医薬品卸との価格交渉では流通改善ガイドラインの遵守により、一次売差の改善が必死に行われている。厳しい言い方をすると、医薬品メーカーは製品の仕切価を上げ、医薬品卸への流通経費を削減したが、結果として自社の製品実勢価が守られるという流れになっている。

 川上との価格交渉の観点でいうと、医療機関・保険薬局と医薬品卸との取引においては未だに長期に渡る“価格交渉”が行われ、長期未妥結という課題に繋がっているが、医薬品メーカーと医薬品卸の仕入交渉では、4月からの仕入分の価格が1~2カ月前に“提示”がされており“交渉”の場がない事が実情である。当然ながら医薬品メーカーからの一方的な提示は薬価改定毎にしか行われず、年度の途中で見直される事は基本的にはない。

 流通改善ガイドラン発出より半年が経過したが、流通改善ガイドラインが何のために行われているのか、川上、川下のそれぞれの立場でどの様に取り組んできたのかを再度検証していく必要がある。


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