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【薬剤師のスキルアップと生涯学習】新潟薬科大学 高度薬剤師教育研究センター

2019年07月19日 (金)

復職支援研修がスタート

小林氏

小林氏

 新潟薬科大学(新潟市)の生涯研修認定制度は、今年度に選定した熱中症や感染制御、自殺対策、個別化医療(卵巣癌)、栄養、ワクチン、血液疾患、災害医療などのテーマごとに、薬剤師として地域住民に貢献するための知識を共有できるようにし、明日から使える知識を得られるよう工夫している。同制度を運営する高度薬剤師教育研究センター長の小林靖奈教授は、「薬剤師生涯教育講座、グループ研修共に、より薬剤師を前面に出したプログラムを組んだ」と話す。また、臨床現場を離れていた薬剤師の復帰をサポートする薬剤師復職支援グループ研修をスタートさせるなど、新たな挑戦を続けている。

 小林氏は、「薬剤師が関与することで、どう医療や地域住民に貢献できるのか、具体的で新たな知識を持ち帰ってもらいたい」との思いから、「薬剤師を前面に出した生涯研修とグループ研修を企画した」と説明する。

 6月8日に行った「熱中症ゼロを目指して―患者の訴えから薬剤師ができること」(三宅康史帝京大学病院教授)をテーマとした生涯教育講座では、糖尿病患者が熱中症になりやすいことなどを踏まえ、処方内容から現場の薬剤師が注意すべき点を紹介してもらったという。8月31日に予定している「感染制御における薬剤師の役割と消毒薬の使い分け」(尾家重治山口東京理科大学薬学部客員教授)では、それぞれの場面に応じてどの消毒薬を選択し、現場でどのように作製すれば良いのか、作り方も含めて講義を依頼したい考えである。

 また、新潟県は過去に大きな自然災害を何度も経験している。“災害は忘れた頃にやってくる”のではなく、近年は“忘れないうちにやってくる”ことから、いざ災害が発生した時に薬剤師ができる具体的なことを準備しておいてもらいたいとの思いから、12月7日に「災害時における医療活動と薬剤師の役割」(高橋昌新潟大学大学院医歯学総合研究科新潟地域医療学講座/災害医学・医療人育成部門特任教授)を企画した。

 その中でも、同大学が進める災害薬学に関しては、昨年から高橋氏と和泉邦彦氏(新潟大学医学部災害医療教育センター)の指導のもと、共同研究や災害薬学研究会も開始しており、今年度も開催を予定している。小林氏は、「テーマは幅広いが、研修を通して薬剤師ができることは何かということを知識として共有してもらえれば」と話す。

 参加型にこだわったグループ研修(定員30人)は、▽統合医療▽臨床栄養学▽災害薬学▽米国の薬剤師業務▽臨床研究と治験▽感染制御▽漢方処方▽褥瘡――の8テーマを選んだ。小林氏は、「今回はより実践に重きを置いたグループ研修を組んだ」と話す。

 「米国の薬剤師業務にみる日本における薬剤師業務変革と次世代薬剤師の役割」(斎藤勲あやせ薬局本店管理補佐)では、AIに取って代わられる業務とそうでない業務の違いをはじめ、将来、薬剤師の業務はどうあるべきかについて、4~5人のグループに分かれて意見交換・発表するという形で行われた。今後は、薬剤師に必要な英会話のグループ研修の企画も考えているという。

 昨年からスタートした災害薬学では、新潟大学の和泉氏に災害医療の基本戦略や法的規制を概説してもらった上で、被災者に寄り添った支援のあり方などを議論する。

 漢方処方のグループ研修では、漢方エキス剤を中心に、心と体の状態をあらわした「証」を踏まえ、処方が適しているかをはじめ、投薬時や服薬時に患者に注意してほしい点やエキス剤の弱点などについて学んでもらう予定だ。

 小林氏は、「キーワードはアウトプット力と行動力。次の日から得た知識を使ってもらえるような講座を展開したい」と語る。

 若林広行副学長と共同で、「薬剤師復職支援グループ研修」もスタートさせた。医師では、子育てなどのライフサイクルによって、一旦臨床現場から離れた医師の復職支援教育が確立されているが、薬剤師ではそうしたサポートが存在しないのが実情だ。

 同大学の高度薬剤師教育研究センターでは、現場復帰を目指している薬剤師を対象に、講義と指導薬剤師による市内4薬局での調剤業務一般(処方箋応需から服薬説明まで)の研修を通して、職場復帰を支援する取り組みを始めた。

 講義では、2015年以降の新薬情報や薬局・薬剤師を取り巻く状況(セルフメディケーション、健康相談、後発品、薬薬連携、健康サポート薬局、かかりつけ薬剤師・薬局、在宅医療など)を学ぶと共に、実際に復職した薬剤師の体験談なども聞く。

 年2回の開催予定で、既に前期(6~7月)は締め切っているが、後期(10~11月)は募集中である。小林氏は、「全国初の取り組みとなるが、うまくいけばロールモデルになるのではないか」と期待を込める。

 今後の生涯学習講座とグループ研修について、小林氏は「地域性なども踏まえ、薬剤師のニーズを捉えた企画を展開したい」と話す。例えば医療経済だ。医療費削減は必要な課題と分かっているものの、実際のところ、どう取り組んで良いか具体策に悩んでいることが想定されるため、小林氏は「残薬やポリファーマシーを医療経済の側面から具体的にレクチャーしてもらうと、より使命感を持って取り組んでもらえるのではないか」としている。

 また、病院や薬局での業務が大学でいつ、どのように教えられているか、大学で教わった知識・技能が現場でどう活用されているのかといった質問を受けることが多いという。そのため、現場と大学をブリッジングするような生涯学習の企画や生涯学習講座とグループ研修をリンクさせた企画も立案するなど、アイデア創造に余念がない。

新潟薬科大学 高度薬剤師教育研究センター
http://www.nupals.ac.jp/koudo/




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