“
薬害肝炎事件の検証及び再発防止のため
の医薬品行政のあり方検討委員会
厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」は7日、中間報告を大筋でまとめ、安全対策を強化する緊急対策を実施するよう提言した。国内の企業などからの副作用報告の精査を、死亡例や未だ知られていない重い副作用を重点に行う方式から、全報告に広げる方式に改める。そのため、安全対策に携わる担当者を、最低でも現行の約5倍の300人程度に増強し、薬効群ごとに医学・薬学・薬剤疫学・生物統計などの専門職からなるチームで分析・評価を行う。併せて、新たな分析・評価手法も導入し、重要な副作用の見逃しを抑えたい考えだ。また、新薬の市販後リスクを最小化する管理計画の策定を企業に求める制度について、「速やかに導入する」ことを求めた。
検討委員会は、事件の検証作業を踏まえた秋以降、今年度末に向けて再発防止策の検討を本格化させる方針。しかし、緊急に実施すべき対策もあるとして、医薬食品局の提案をベースに検討し、中間報告となった。それを受け厚労省は、来年度政府予算概算要求への反映を目指す。
中間報告によると、国内の副作用は1日平均130件の報告があるが、現行は死亡例や未知の重篤な副作用を重点に置き、約40件を精査するにとどまる。その背景には「人的制約」がある。
具体的には、安全対策の職員が管理部門を含め66人(厚労省医薬食品局と医薬品医療機器総合機構)で、うち35人で分析・評価、情報提供に携わっている。 検討委員会は、国内の企業などからの副作用報告の精査を全報告に対して行う方式に改めることを提案。そのためには大幅増員が必要だと判断した。
具体的には、承認審査人員の500人程度(2009年度までの計画)であることや、数百人以上という欧米の体制との比較も踏まえ、安全対策に携わる職員は最低でも300人程度確保することを打ち出す方向となった。また、薬効群ごとに医学・薬学・薬剤疫学・生物統計などの専門職からなるチームで分析・評価することを求めた。人員確保策として、企業出身者の登用については賛否両論を併記した。
さらに、副作用報告に対する新たな分析・評価手法として、「レセプトデータや電子カルテなど医療情報データベースをも利用した薬剤疫学的手法」の活用について、「速やかに導入を図る」ことを求めた。
また、企業側に対しては新薬の市販後リスクを最小化するための管理計画の策定を求める「リスク最小化計画・管理制度」(仮称)を「速やかに導入する」とした。同制度は、欧米で導入・提案されているものを参考としたもので、当面は新薬を対象に、医薬品の特性に応じて、市販後調査や販売制限など様々な安全対策を組み合わせて実施することで、新薬に潜在するリスクの最小化を狙う。
講じた安全対策が医療現場などで効果を上げているかを検証する「フォローアップの充実・強化」も盛り込んだ。
医薬品行政を行う組織体制については、厚生労働省に一元化する案と、医薬品医療機器総合機構に一元化する案が事務局から提示されたが、それぞれについて論点を示すにとどめ、秋以降の本格論議につなげることになった。
“