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コロナ対策に改正薬機法の精神を

2020年04月10日 (金)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が発令された。自粛要請に伴う経済的な補償が不十分との声もあるが、医療体制の確保には社会全体で協力しなければならないだろう。

 さらなる感染拡大を抑止するためには、検査の拡充や治療薬の開発が不可欠となる。既に治療薬については、抗インフルエンザ薬「アビガン」、抗ウイルス薬「レムデシビル」などの治験が始まり、武田薬品は原因ウイルスに対する高免疫グロブリン製剤の開発に着手した。

 既存薬の転用による薬剤は症状の改善は見込まれるが、より開発が期待されるのは新規の薬剤だろう。ただ、医療現場にいち早く届けなければならない状況では、医薬品の有効性と安全性のバランスを多少、犠牲にして開発を進めることも考えられる。

 昨年12月に公布された改正医薬品医療機器等法は、こうした事態を想定していないだろうか。改正法の趣旨は、「国民のニーズに応える優れた医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供すると共に、住み慣れた地域で患者が安心して治療を受けられる環境を整備する」というものだ。

 まず、イノベーションの成果をいち早く実用化して患者に届けるため、「先駆け審査指定制度」「条件付き早期承認制度」を法律上、明確化した。新型コロナウイルス治療薬を開発していくためには、こうした制度の適用をはじめ、より迅速な対応が取られる可能性もある。

 承認審査を迅速化すれば、市販後の安全対策強化が必要になる。改正薬機法では、添付文書の情報提供を原則電子化し、最新情報を迅速に現場に届けるようにした。

 薬剤師・薬局のあり方を見直したことも、このような新型コロナウイルス感染症治療薬の開発に貢献できる部分がある。服薬期間中の患者フォローを薬剤師に義務づけることや、新たに位置づけた「地域連携薬局」は、医療機関や他職種と薬剤師が連携して患者に一元的・継続的な薬物療法を提供することを目的としたものである。イノベーションの成果を、適正に使いこなすことにもつながるのではないか。

 自分たちの業務をうまく見える化できれば、世間の薬剤師を見る目が変わるきっかけにもなるだろう。その際、薬剤師が介入したことで副作用の回避など、医薬品の安全使用につながったというエビデンスを集積しておくことにも留意してほしいと思う。

 緊急事態宣言は、ひとまず5月6日までとされたが、おそらく新型コロナウイルスとの戦いは、長期化を余儀なくされるだろう。その影響で、改正法関連通知の発出や改正省令の公布がずれ込んでしまうかもしれない。

 しかし、改正薬機法の理念そのものは単純かつ明快だ。先行き不透明な状況を明るく照らす指針の一つになり得るのではないか。




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