日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、2020年度版業界推計「日本のドラッグストア実態調査」の結果を公表した。同調査は00年度を初回とし、毎年同じ方法で調査を行うことで、日本のドラッグストア業態の変化を明らかにしてきた。今回の調査期間は、昨年10月16日~今年1月31日で、JACDS正会員企業119社のうち115社が回答。会員外企業273社も独自に調査している。
20年度の調査結果を見ると、全国総売上高は8兆0363億円となり、初めて8兆円を突破した。JACDSが目標に掲げる「10兆円産業化」がいよいよ視界に入ってきたと言える。前年度からの伸び率は4.6%で、ここ数年続けている前年度比105%前後という成長を今回も達成した。コロナ禍でも郊外型店舗を中心に需要が活発で、その受け皿としてドラッグストアも業績が好調だったと見られる。
カテゴリー別では、全てが好調に推移したわけではない結果が示された。外出自粛やテレワークなどによりビューティケア関連の商品は伸びが鈍った。
一方、消毒液やマスクなどホームケアの商品は、大きな伸びを示した。巣ごもり需要等の影響でフーズも堅調な伸びを見せたが、フーズよりもホームケアの伸びの方が高かった。JACDSは「コロナ禍の影響としては、ビューティケアとホームケアに大きな差が表れた」と分析している。
20年度のドラッグストアにおける調剤額も判明した。1兆0693億円で、調剤額も初めて1兆円を突破している。前年度比9.0%という伸び率で、近年は毎年度10%程度の高い伸び率を維持している状況だ。
調剤医療費総額に占めるシェアは、暫定値で13.8%となった。シェアは17年度が10.5%、18年度が11.9%、19年度が12.7%であり、確実にシェアを拡大させている。
また、20年度の調剤医療費総額は、薬価改定やコロナ禍による受診抑制の影響で減少するとの見込みがある。その場合、ドラッグストア調剤のシェアは暫定値の13.8%を超えることが予想される。さらに、新規開局が続いていることやコロナ禍の中で処方箋の門前から面薬局への動きがあることなどから、今後のシェア拡大を予想している。
今回初めて1兆円を超えたドラッグストアの調剤額だが、JACDSの池野隆光会長は「1兆円を超えるということは、次が見えてくる」とさらなる成長への期待感を示している。
薬剤師を中途採用する難易度が下がり、既存ドラッグストアで調剤併設が進んでいることなどを背景に、調剤医療費総額に占めるドラッグストア調剤のシェアが今後どのように変わっていくか。業界全体の成長と共に、ますます目が離せない状況と言えよう。