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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】スギ薬局今池南店(ユヤマ)

2022年07月29日 (金)

一包化と一次鑑査を効率化‐訪問診療同行の時間確保

在宅医療強化店として昨年9月にオープンした

在宅医療強化店として昨年9月にオープンした

 昨年9月、名古屋市千種区にオープンしたスギ薬局今池南店は、地域の高齢者施設の入居者を中心に、在宅医療に力を入れている。多数の高齢者施設に対応するため、ユヤマの各種調剤機器・システムを組み合わせて、一包化やその一次鑑査をほぼ自動的に行う体制を構築。一包化業務の効率化や正確性の向上を実現した。薬剤師は、システム導入で生み出した時間を使って医師の訪問診療に同行し、その場で処方設計に関わるなど、チーム医療の一員として職能を発揮している。

 同店は、地域の在宅医療を受け持つちくさ病院の近隣に開設。1階には通常の薬局と同じように外来患者に対応する機能を設け、2階には在宅医療に対応する各種調剤機器や無菌調剤室を設置した。

 スタッフ数は薬剤師4人、医療事務員5人。ちくさ病院などが連携する高齢者施設6カ所の入居者約250人、自宅の在宅患者十数人のほか通常の外来患者に対応しており、毎月800~900枚の処方箋を応需している。

大澤氏

大澤氏

 4人の薬剤師のうち3人が主に在宅医療を担当。分担して、月に計20回以上ある医師の訪問診療に同行し、職能を発揮している。

 訪問診療は主に、高齢者施設の入居者を2グループに分け、1グループ当たり月2回の頻度で行われる。15人のグループの場合、1回の訪問診療に費やすのは3時間ほど。薬剤師は、訪問診療が始まる30分前に医療事務員と一緒に現地へ出向き、残薬の現況を確認したり、看護師から入居者の様子を聞いたりして準備。各入居者のもとを回る訪問診療が始まると、事前に把握した情報を踏まえて医師に薬の変更や追加、投与日数の調整などを提案する。

 同行することで医師の処方意図が分かる。その場で双方向のコミュニケーションを取れることもメリットだ。

 同店の薬剤師、大澤和己氏は「在宅ではより細かく患者の状況を把握でき、個々に応じた服薬指導をしやすい。それで患者が快方に向かうと、薬剤師冥利に尽きる」と話す。

 「医師とは訪問診療の場面以外でも、電話で薬の相談を受けるようになった。チームの一員として信頼関係が構築されていると感じる」と語る。

各種機器を組合せ在宅強化

自動的に医薬品の一包化を行いながら、排出された分包品を自動巻き取り装置でロール状に束ねる

自動的に医薬品の一包化を行いながら、排出された分包品を自動巻き取り装置でロール状に束ねる

 高齢者施設には多数の患者が入居しており、在宅医療に対応するには、効率的で正確な調剤を行う体制の構築が欠かせない。

 この観点から同店は、ユヤマの全自動錠剤分包機「リトリアIV」、一包化錠剤鑑査支援装置「タブサイトS」、一包化された薬を自動的に巻き取る「自動巻き取り装置」の三つを組み合わせて活用している。これは、スギ薬局の他の在宅医療強化店でも導入している仕組みだ。

 まずは、処方データをもとに「リトリアIV」で自動的に医薬品の一包化を行いながら、排出された分包品を「自動巻き取り装置」でロール状に束ねていく。次に、自動巻き取り装置と連動させて、ロール状に連なった分包品の先端を「タブサイトS」に通すと、自動的に鑑査が始まる。装置内で撮影した薬の形状や色、数量と処方データを迅速に照合。不一致があれば知らせてくれる。連なる分包品がなくなるまで動き続けるため、無人で自動的に一次鑑査を行える。

ロール状に連なった分包品の先端を装置に通すと自動的に一次鑑査が始まり、なくなるまで動き続ける

ロール状に連なった分包品の先端を装置に通すと自動的に一次鑑査が始まり、なくなるまで動き続ける

 これらの作業が終了すると薬剤師が最終鑑査を行う。「タブサイトS」の鑑査結果に目を通したり、錠剤の刻印を目視して種類を確認したりして、万が一の調剤過誤を防止する。

 基本的に薬の種類が間違うことはほぼない。「リトリアIV」には、カセット充填時に医薬品の入れ間違いを防ぐチェック機構が搭載されている。充填台に置いたカセットと薬の元箱のバーコードを照合することで、初めてロックされたカセットのフタが開く仕組みだ。固有カセットがない医薬品はユニバーサルカセットで対応可能で、神経を使う手撒き作業を極力減らせる。

 錠剤の刻印を目視するのは、処方データ入力時に誤りが発生している可能性を考慮してのこと。大澤氏は「基本的にはバーコードを照合してカセットに錠剤を充填するため、種類の間違いはない」と語る。

 これらのシステムによって調剤業務の大幅な効率化と正確性の向上が実現した。現場の感覚では、20枚程度の処方箋の一包化を1時間以内に行えるという。

 大澤氏は「一包化は手撒き中心で、鑑査支援装置もなかった薬局で働いた経験と比べると、かなり負担が減った。ある程度機械に任せられる部分が増え、助かっている。業務負担は半分以下に減ったとの印象がある」と話す。

 スギ薬局は、生涯にわたって人々の健康を支えるトータルヘルスケア戦略を掲げている。その一環として昨年から、在宅医療機能を強化した薬局の展開を本格化させた。通常の機能を備えた薬局では数カ所の高齢者施設を担当するのが限界。今池南店のように新たな調剤機器・システムを導入し、在宅機能を強化することで、多数の高齢者施設を受け持てるようになるという。

 今後の展開について大澤氏は「薬局の対応能力にはまだ余地がある。受け入れる在宅医療の患者数をさらに増やしたい。業務を効率化した分、対人業務を充実させて薬剤師の力を発揮することで、患者や家族の満足度を高め、地域医療に貢献したい」としている。

スギ薬局今池南店(ユヤマ)
https://www.yuyama.co.jp/



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