第55回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会理事
村杉紀明
宮城県薬剤師会理事
齋藤涼子
地域包括ケアシステムの中で薬剤師が果たす役割については多方面から期待が寄せられており、小児医療の進歩等により約2万人にまで増加しているといわれる医療的ケア児への対応もその領域の一つである。そのような中、成育基本法の制定や2022年度の診療報酬改定における小児特定加算新設など、地域包括ケアシステムを支える薬剤師にとって「やりがいと果たすべき責任」が増していることを多くの薬剤師が実感していると思われる。
本分科会では、医療的ケア児やその家族に対してできる限りの対応をしたいと考える全ての薬剤師に応えるべく、患児や家族の思いを実現し、安心安全で良質な医療を提供するために必要な薬物療法に関する知識や実践に必要な役立つ様々な情報をお届けする。
二つの基調講演では、厚生労働省医薬・生活衛生局総務課の川上貴裕氏から、成育医療等の提供に関する国の役割や薬剤師に期待することを、国立成育医療研究センター総合診療部長の中村知夫氏からは、医師の立場から医療的ケア児と家族を支える医療チームとして理解すべき事象や、薬剤師の果たすべき役割について講演いただく。
医療的ケア児の薬学的ケアの現状と課題については日本薬剤師会理事の川名三知代氏から、「日本薬剤師会による実態調査の結果」を踏まえて具体例や留意すべき事項などについても紹介いただく。在宅で過ごす医療的ケア児への訪問業務については、三進堂薬局管理薬剤師の佐藤直哉氏から調剤上の工夫や医師との連携する上で押さえておきたいポイントなどについて提示いただき、病院薬剤師の立場からは県立広島病院の笠原庸子氏から、地域の薬剤師に期待することや在宅で過ごす医療的ケア児に必要な薬薬連携の実践のあり方について解説いただく。
5人の演者による講演とその後の総合討論の中で、在宅TPNや医療材料、成人用製剤の加工と小児用量、ハイリスク薬の管理、処方意図の理解、レスパイトを含む入退院連携などについて理解を深めると共に参加者と一緒に考える機会としたい。
(村杉紀明)