日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、加盟企業における薬歴未記載など不適切な薬歴管理問題に対し、2月に協会内に対策本部を設置して再発防止に向けた検討・協議を続けてきたが、先月末に「不適切な薬歴管理の再発防止に関する宣言」を策定・発表した。
これまで対策本部では、報道にあった企業の聞き取りを行い、さらに経営者、薬剤師、有識者に問題意識や再発防止のための意見のヒアリングを行い、こうした意見を参考に再発防止徹底のために協会が行うこと、各企業が遵守・行動すべきことをまとめ上げ、その決意を宣言とした。
一連の薬歴管理の不適切な処理の多くは、調剤応需時に薬剤師が薬歴のコンピュータ入力メモ用紙に、患者から聞き取りながら記入しておいたものを、患者ごとにファイリングまたはコンピュータ入力し、患者ごとに検索できるようにしておく作業がされていなかった“薬歴の処理”に問題があるものだった。これでは調剤応需時の服薬管理指導の対応は行えても、次回の応需時に前回状況を基に服薬管理指導することが難しくなってしまう。
JACDSでは、調査やヒアリングを通じて、適切な薬歴管理や薬歴の保管等に必要な意識や労務管理、技術等の課題も浮き彫りになったとする。そして「全会員からの合意を得て、宣言を策定・発表した」としている。さらに同問題を再び起こさないために組織的かつ継続的に監視できる体制を強化する必要から、協会内に「コンプライアンス委員会」を設置し、法令遵守の強化体制を確立する。当面は1年間、定期的(毎月)に実施状況のチェックを行い、改善が見られない場合は「除名を含めた確固とした形で対応していく」という。協会内に、勤務する薬剤師や従事者からの内部告発窓口を設けるのも、決意の一つといえる。
JACDSは今回の対応の中で、生活者・患者向けの啓発パンフレットを作成し、来店および調剤応需時に配布する計画だ。これまで数度開催した有識者へのヒアリングや会議で、ほとんどの生活者・患者は医薬分業や薬歴管理の意義やメリットについての知識がなく、今回の一連の問題が分からないという指摘を受けたのが理由だ。
ある意味で、薬局・薬剤師の業務がまだまだ知られていなかったことが、今回の薬歴管理問題で再認識されたとも言えるわけで、JACDSでは「患者に薬歴管理を含め医薬分業を知ってもらい、医薬分業を上手に利用してもらうための啓発にしたい。患者本人からの薬歴閲覧の求めにも、可能な限り応じる体制をとる」としている。分業(調剤)への理解促進の観点からも、会員一体となっての訴求活動が重要となってくる。