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【被験者リクルートメントの現状と課題】ウェブから被験者を検索‐“患者力”獲得をサポート 日本オラクル

2017年3月29日 (水)

被験者リクルートメントを支援する企業

 日本オラクルは、製薬企業や医療機関向けに、インターネット上のクラウドサーバーに蓄積した患者情報の中から、治験計画(プロトコル)の条件に合った被験者を事前に検索できる「Oracle Health Sciences Network」(HSN)を国内で稼働させる。医療機関と製薬企業間でプロトコルや被験者情報の共有を可能とし、対象となる治験の候補者の情報をリアルタイムに提供することで、患者が治験に参加しやすい環境をサポートできることがシステムの特徴だ。ヘルスサイエンシズグローバルビジネスユニット・ヘルスケアソリューションズディレクターの奥泉盛司氏は、「病気を治したいという強い気持ちを持って、患者さんが自発的に治験に参加していくための“患者力”をつかめるツールを提供したい」と語る。

図:Oracle Health Sciences Network

 治験は疾患によっては治療の一環となっており、患者も治療機会を得ようと行動を起こすものの、治験情報にアクセスするのに苦労している。一方、製薬企業は被験者不足という問題に直面し、被験者探しに躍起になるがなかなか見つからず、情報の非対称性がネックになっている。

 そんな問題を解決し、上市までのスピードアップと開発コスト削減を実現するソリューションがHSNだ。北米ではUPMCやジェネティック・アライアンスなどの医療機関が参加し、全世界で500万人の登録者を集積している。

 治験の効率化と精度向上を支援する。クラウドサーバーに蓄積された全世界の登録患者の中から、プロトコルの対象患者を検索でき、対象患者が多い治験実施施設を選定することが可能となるため、少施設多症例の治験を実施することができる。試験設計の早期段階からリアルタイムに臨床データを関係者間で共有でき、治験プロトコルの実現可能性とその検証結果を瞬時に確認できるため、試験途中で追加症例が必要になったり、プロトコルを修正するなど対応が後手にならないようにしている。

 患者の実臨床データを開発に生かす。HSNは、医療機関が登録した個々の患者に関して臨床診断や手術、受診、薬歴、病歴、遺伝子変異型など様々な臨床データを匿名化した形で統合し、グローバルで運用している。製薬企業には、患者の臨床情報は渡らず、治験の対象となる患者数のみを提供する。国内外で様々な医療情報の取り扱いのセキュリティに関する法令・指針が示される中、米国の医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)にも準拠し、特定可能な個人情報を削除、一般化して匿名化するなど高いセキュリティも具備した。

 遺伝子変異データも蓄積しているメリットも大きい。個別化医療薬開発がキーワードになっている製薬企業に対しては、遺伝子データを含めた患者情報を把握し、基礎から臨床に橋渡しするトランスレーショナルリサーチの観点から最適な開発計画をサポートする。逆に実臨床で遺伝形質と疾患の関連性が認められれば、研究部門での創薬検討テーマとしてフィードバックすることも可能だ。

 日本での稼働に向けては、個人情報の匿名化に関する法整備や全国的な医療情報の標準化が進んでいないことから、まずは地域医療の先進的な自治体を選定し、そこで患者情報のデータ統合を進め、治験の被験者リクルートでも使える仕組みに確立する方向だ。

 HSNは、様々な治験のステークホルダーを支援するサービスだが、最大の目的は治療を受けたいと思う患者へのベネフィットの提供だろう。最先端の治療を必要とする患者がHSNに登録すれば、医療機関や製薬企業に自分の存在に気付いてもらうことができ、治験に参加できる可能性が広がるからだ。患者中心の治験を切り拓くために、ITが有用なツールになる。




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