厚生労働省医薬食品局は8日付で、6月1日から施行される改正薬事法関連の局長通知を発出した。施行通知では、一般用医薬品のリスク分類に応じた情報提供の方法を具体的に規定したほか、リスク別の陳列方法、店舗で医薬品を販売しない時間がある場合の「閉鎖」の方法も明記した。また、インターネット販売や、漢方薬などの「郵便等販売」については、「第3類医薬品以外の医薬品を販売し、又は授与しないこと」とするにとどまり、触れられていない。
第1類医薬品などは、薬剤師による書面での情報提供が求められるが、通知ではその際に必要な情報として、▽当該医薬品の名称▽当該医薬品の有効成分の名称及びその分量▽当該医薬品の用法及び用量▽当該医薬品の効能又は効果▽当該医薬品に係る使用上の注意のうち、保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項▽その他薬剤師がその適正な使用のために必要と判断する事項――を挙げた。
このうち、「当該医薬品に係る使用上の注意のうち、保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項」に該当する具体的な事項は、添付文書中の「使用上の注意」のうち、「してはいけないこと」に関する情報及び「使用前に医師・薬剤師等に相談する必要がある人」に関する情報であること。
また、添付文書中の「使用上の注意」について説明を行う以外の場合には、書面を交付することが望ましいことと規定した。
医薬品の販売後に、購入者から相談があった場合の対応方法も示した。電話などで情報の提供を行う場合は、▽単純な事実関係を確認すること▽店舗への来訪を求めること▽医療機関への受診を勧めること(受診勧奨)▽店舗への来訪や受診勧奨を前提とした使用者に係る情報の収集のための会話に限定すること――を明記した。
医薬品の購入者に、薬剤師、登録販売者、一般従事者が容易に判別できるようにするためのルールでは、名札に加え、「バッジ等」が新たに明記された。薬剤師・登録販売者には、氏名に加えて「薬剤師」または「登録販売者」と記載した名札を付けさせるか、氏名を記載した名札に加えて薬剤師、登録販売者の別を記載したバッジ等を付けさせることとした。一般従事者には、氏名や「一般従事者」と記載した名札を付けることに加え、「一般従事者がいわゆる白衣を着用するなど、購入者から見て紛らわしい衣服を着用させることは避けること」とした。
一般用医薬品の陳列に関する規定も設けられた。第1類医薬品については、購入者が直接手に取れないように陳列し、販売側が購入者へカウンター越しに医薬品を手渡すようにする。
また、「指定第2類医薬品」については、情報提供を行うための設備から7m以内の範囲に陳列することとされたが、「かぎをかけた陳列設備に陳列する場合または指定第2類医薬品を陳列する陳列設備から1・2メートル以内の範囲に医薬品を購入し、若しくは譲り受けようとする者又は医薬品を購入し、若しくは譲り受けた者若しくはこれらの者によって購入され、若しくは譲り受けられた医薬品を使用する者が進入することができないよう必要な措置が採られている場合は、この限りでない」とした。
販売しない時間帯‐物理的な遮断が必要に
一般用医薬品を販売しない時間がある場合、医薬品を交付する場所を「閉鎖」しなければならないが、閉鎖の方法についても規定。シャッター、パーティション、チェーンなどの構造設備により物理的に遮断され、進入することが困難なものであることとし、可動式の構造設備の場合には、従事者以外の者が動かすことができないような措置を採ることとした。
また、薬局開設者は、▽第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品の定義や、これらに関する解説▽営業時間外で相談できる時間――など、薬局を利用する際に必要な情報を、薬局の見やすい場所に掲示することが義務づけられるが、掲示の方法については、「印刷物等により掲示を行うことでも差し支えない」とした。
なお、既存の一般販売業者や薬種商、特例販売業者が引き続きその業務を行うことができる経過措置期間は、2012年5月31日までとされた。