AI医療機器を開発するアイリスは1日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「ディープテック・スタートアップへの事業開発支援事業[ユニコーン・プロモーション・プログラム(UPP)事業)]の医療機器・ヘルスケア分野において、2025年度の公募に採択されたと発表した。
ディープテックの社会実装には、科学性や技術力だけでなく、その技術を事業として展開する推進力と、医療制度や現場運用への深い理解が求められている。同社では、医師、行政経験者、医療機器メーカー出身者など多様な専門性を持つチームを有し、AI技術の開発から販売・普及、制度連携までを一貫して推進できる体制を整えている。
近年のパンデミックで明らかになったように、感染症は医療のみならず、経済や社会の基盤を揺るがす根本課題となっている。同社は、最先端のAI技術を診療現場に実装することで、感染症診断と危機管理のための新たなインフラを築くことを目指している。
既に、10万人を超える患者が同社のAIを通じた診断を受けており、医療現場でのAI利用は急速に広まっている。このような営みを通じたデータの蓄積は、将来的に未知の感染症の兆候をいち早く捉える公衆衛生のセンサーにもなり得ると期待されている。
今回、UPP事業に採択されたことを受け同社の沖山翔代表取締役は、「このたび、国の策定したユニコーン・プロモーション・プログラム(UPP)の第1号事業として当社が採択され、身の引き締まる思いです。同事業の採択を一つの節目として、私たちは医療機器開発を超えて、社会や人類全体の課題に向き合う一企業として、より一層歩みを進めてまいります」とコメントしている。
NEDOでは過去に、研究開発型スタートアップ支援事業、ディープテック・スタートアップ支援事業と名を変えながら、2015年から現在に至るまで、10年間で推計200件以上の事業に対して、資金支援という形でのスタートアップ振興が実施されている。
特に近年では、ディープテック・スタートアップ支援事業において、3億~5億円のSTSフェーズ、5億~10億円のPCAフェーズ、最大25億円のDMPフェーズが実施されていたが、25年4月に今回初公募となったUPP事業開発支援事業では、過去最大規模となる最大30億~50億円が投入される。
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