日立ハイテクと FUST Lab Co., Ltd.(FUST Lab社)は8月4日、環境省による2024年度補正予算「PFOS 等の濃度低減のための対策技術の実証事業」に取り組み、FUST Lab社製の超音波分解装置を活用した PFAS(有機フッ素化合物)分解技術の有効性を検証した結果を報告した。今回の実証では、超音波技術を活用したPFASの分解によって、当初目標であるPFOSおよびPFOAの合計濃度50ng/L以下を達成し、海外での実績を有する超音波技術を用いた手法が、日本国内でもラボレベルで安定的に機能することが分かった。
今回の実証では、FUST Lab社が開発した約400kHz帯の収束型キャビテーション超音波技術を用い、日立ハイテクが長年培ってきた「見る・測る・分析する」技術力やノウハウを基盤に、PFAS分解プロセス全体をデータとして捉え、測定から解析を統合的に実施した。
同技術は、超音波によって水中に微細な気泡を発生させ、気泡が崩壊する際に局所的に高温・高圧の環境が生じると共に、ラジカル種が生成されることで、PFASの強固な炭素とフッ素の結合を化学的に切断しPFASの分解を促進するもの。薬剤に依存せず物理・化学的効果を組み合わせることで反応効率を高める特徴や、親水性が高く分解が難しいとされる短鎖PFASを含む混合汚染水に対しても濃度低減効果があり、エネルギー効率と環境負荷のバランスに優れた処理を期待できる。
なお、同実証では日立ハイテクの技術力とノウハウを活用し、中央大学と連携して、分解処理前後におけるPFAS25種の定量分析に加え、ノンターゲット分析による副生成物の把握、分解機構の解明と反応評価も実施した。
主な実証成果としては、実汚染水(高濃度の長鎖PFAS主体および短鎖PFASを含む混合汚染水)を対象としたラボレベルの試験において、同技術を用いた分解処理を行いPFOSおよびPFOAの合計濃度を50ng/L以下に低減し、環境省が定める水道水質基準を満たす結果が得られた。
特に、高濃度汚染水では、同実証の条件下で最大約99.98%の濃度低減率を確認している。また、長鎖PFASのみならず短鎖PFASを含む広範な化合物群に対しても高い分解性能を示すと共に、複数の化合物を同時に処理できる包括的な技術であることが実証できた。さらに、ノンターゲット分析から、PFASが分解されて生じるとされる無機フッ化物イオンの生成を含む分解進行を確認でき、同技術が単なる分離ではなく、分子レベルでの分解を実現していることを科学的に確認することができた。
今後は、同実証で得られた成果をもとに、日立ハイテクが有する解析・分析技術とFUST Lab社のPFAS分解技術を組み合わせ、実環境への適用に向けた検証をさらに進めていく。両社は、様々な水質条件や利用シーンに応じた技術適用性を高めると共に、PFAS対策に求められる検出・除去・分解・廃棄の一連のプロセスにおける処理の安定性、信頼性の向上を目指していく。
また、検出から廃棄までの運用支援も見据えたソリューション構築に向けた取り組みを通じて、持続可能な水環境の保全と安心・安全な社会の実現に取り組んでいく。
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