第一三共ヘルスケアは、AIによる顔画像解析を活用し、体内・心身状態に関する指標と、頬の赤みやシワなど顔に現れるサイン(外見上の特徴)との関連について研究を実施。その結果、顔画像から体内および心身の状態に関する情報を捉えられる可能性が示されるとともに、本人が日常的に認識できる外見上の特徴との関連も確認した。同研究の成果は、今年9月12~13日に開催された第31回日本顔学会大会(フォーラム顔学2026)で発表された。これらの知見は、顔画像から得られる情報を自身の状態への気づきやセルフケア行動の促進につなげる新たな可能性を示すものであり、今後のヘルスケア活用が期待される。
近年、血液検査や問診、ウェアラブルデバイスなどを活用して健康状態を把握する技術が進歩している。一方で、検査値やスコアのみでは、自身の状態を実感しにくく、必ずしもセルフケアや行動変容につながらないという課題があるという。また、顔画像から体内や心身状態を推定する研究は進んでいるものの、AIが捉えた情報を生活者自身が理解し、自分ごととして認識できるかについては十分に明らかになっていなかった。
そうした中で同社は、顔画像をAIによる分析の対象としてだけでなく、生活者自身が日常的に目にする外見情報としても捉え、AIが読み取る体内・心身状態に関する情報と、本人が認識できる外見上の特徴との関係に着目した。同社はこれまで、OTC医薬品や機能性スキンケア製品などを通じて、生活者自らが健康を守るセルフケアを支援してきた。生活者一人ひとりに適したセルフケアをサポートするためには、自身の状態を理解し、日常生活の中で気づきを得られる仕組みが重要であるとの考えだ。
今回の研究では、健康な成人310人を対象として、顔画像、血液検査値およびストレス・疲労・不眠などの心身状態に関するデータを取得。このうち年齢およびBMIの情報を有する278人について、年齢とBMIの影響を調整した解析を実施した。顔画像からは、肌の明るさ、頬の赤み、黄ぐすみ、目の下の影、目尻のシワ、目尻の微細な線、肌の微細な凹凸、ほうれい線の深さの8項目を抽出した。
解析は二つのアプローチで実施。まず、顔画像を入力としたAIの深層学習により、炎症、加齢変化、酸化、ホルモン、ストレス、疲労、不眠などの健康関連指標について、高値群と低値群を識別できる可能性を検証した。さらに、同じ顔画像から抽出した外見特徴と血液検査値および心身状態との統計学的関連を解析し、深層学習によって分析の可能性が示された指標との関係についても検討した。
研究成果によると、AIの深層学習による解析の結果、炎症、加齢変化、ホルモンなどの健康に関連する複数の指標について、顔画像から高値群と低値群を識別できる可能性が示された。代表的な指標として、炎症に関連するIL-6や高感度CRP、加齢変化や組織代謝に関連するMMP-1・MMP-3、男性ホルモンの一種であるテストステロンなどが確認された。これらの結果は、顔画像に体内・心身状態に関するさまざまな情報が反映されている可能性を示唆しているという。
また、顔画像から抽出した外見上の特徴と体内・心身状態との関係を解析した結果、複数の統計学的な関連がみられた。例えば、頬の赤みとヘモグロビン、目尻のシワと心理的ストレス、目尻の微細な線と炎症関連指標、肌の微細な凹凸とテストステロンとの関連がみられた。
さらに、外見上の特徴との関連解析の結果を、今回の研究成果で得られたAIの深層学習による分析結果と照合したところ、深層学習によって分析の可能性が示された指標の一部についても、肌の明るさや赤み、シワなどの外見特徴との関連がみられた。このことから、深層学習によって捉えられた情報の一部が、生活者自身も認識できる外見上の特徴として現れている可能性が示唆された。
今後に関しては、対象者数の拡大や解析手法の高度化によって顔画像から得られる情報の精度向上を進めるとともに、外見上の特徴との関連性についてさらなる検証を進める。また、肌の明るさや赤み、シワ、微細構造など、生活者が理解しやすい外見上の情報をさらに拡充し、体内・心身状態との関係をより詳細に明らかにしていく考えだ。
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