厚生労働省は24日付で、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(GCP省令)の運用通知を改訂した。検体検査の信頼保証やデータの保管などを強化する一方で、煩雑だった手続きを見直して治験の効率化を図っている。2012年4月から施行するが、施行前でも新通知に基づく運用を認める。
検体検査については、日米EU規制調和(ICH)を踏まえ、治験を依頼する製薬企業や医師主導治験の実施主体が検査機関の精度管理を確認することを定めた。また、CROや検査機関などの外部の業務受託機関が文書・記録を保管し、監査時などに閲覧できるようにしなければならないことも明確化した。
治験責任医師が保存する文書・記録については、製薬企業との書簡や会合、電話連絡などに関するものを含むことを示した。
治験当事者らの要望を受けて手続きの簡素化も図る。GCP省令では実施医療機関、責任医師、モニターの代表者の名前等が治験計画書の記載事項になっているが、製薬企業が複数の医療機関に治験を依頼する場合、これらを分冊としてまとめれば済むようにする。また、症例報告書に記載すべき事項が治験計画書から分かれば、必ずしも症例報告書の見本の作成は求めない。
実施医療機関の長へ提出しなければならない「治験の費用負担について説明した文書」は、被験者への支払に関する資料であることを明確にした。製薬から実施医療機関へ払う費用などは、審査委員が必要と判断すれば提出しなければならないものとして取り扱う。
CROなどが製薬企業の委託を受けて実施医療機関で業務を行う場合、従来だと企業、受託機関、医療機関の三者で締結していた契約は、企業と受託機関だけで締結できるようにする。
このほか、治験薬の容器に記載することになっている治験実施者の氏名・職名・住所は、医師主導の多施設共同治験であれば、治験調整医師の氏名・職名・住所による代替を認める。治験分担医師や協力者のリストは、実施医療機関の長による「指名」から「了承」に変わる。