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厚生労働省は14日、「リン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ」(座長:鴨下重彦国立国際医療センター名誉総長)の初会合を開き、精神科専門委員からの「睡眠障害による異常行動と似ている」などの指摘を受け、タミフルの睡眠に及ぼす影響を調べる臨床試験実施を決めた。今後、詳細なプロトコルを策定し、次のインフルエンザシーズン前までに結果が出せるよう、製造販売業者の中外製薬に指示する方針だ。
会合では、タミフルと異常行動との関係を中心に議論された。4月に開かれた安全対策調査会でも、精神科の専門家から睡眠障害との関連を示唆する意見が出されていたが、この日も10代の症例と睡眠障害の類似性が高いといった指摘がなされた。
それを踏まえてWGでは、睡眠薬の臨床評価ガイドラインで必要とされている睡眠検査室試験を、タミフルでも行うべきだという考え方で一致した。厚労省は次のインフルエンザ流行期までに、ある程度の結果がまとめられるように、プロトコルをさらに検討した上で、中外製薬に臨床試験の実施を指示する。
WGでは、現在の異常行動に関する報告だけでは、睡眠直後に起きたか否かなど時間的経過に不明な点が多いことから、睡眠との関連が明確化できるように、今までの報告症例をさらに整理していくことも確認された。
この日の会合に厚労省は、タミフル服用後に異常行動を起こした患者がさらに13人増え、199人になったことを報告した。2001年の発売から同月17日までの副作用に関する情報を4月25日に公表したが、今回は4月27日までの報告を加えたもの。
また、タミフル以外のインフルエンザ治療薬服用後に異常行動を起こした患者が、塩酸アマンタジン(製品名「シンメトレル」など)では98年に治療薬として使用されて以降6人、ザナミビル水和物(リレンザ)でも00年の販売開始から10人に上ることを報告した。これらに対して厚労省は、「直ちに注意喚起する必要性は考えていない」としながらも、今後のタミフルと異常行動の関係の議論を踏まえながら、注意を払う考えだ。
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