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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】ベル薬局(日立メディカルコンピュータ)

2013年07月31日 (水)

電子化で対話や記録が充実‐地域に根ざした薬局へ

スタッフの皆さん(右が管理薬剤師の水野さん)

スタッフの皆さん(右が管理薬剤師の水野さん)

 千葉県市原市、JR五井駅から車で7分程度走り、橋を渡った養老川沿いに立地するのがベル薬局(管理薬剤師・水野嘉宏さん)だ。駅側から川一本隔て広がる田園風景の中に建つ「原村医院」に隣接、大多数の処方箋を応需している。周辺には医療機関はなく、地域住民のかかりつけ医であり、ベル薬局の応需処方箋の大半は原村医院からだが、他院の処方箋も合わせて持ち込まれるようになり、地域に根ざしたかかりつけ薬局へと歩を進めている。また、実務実習も毎年2人は担当し、後輩の育成にも努力している。

 同薬局は千葉県内で8店舗を運営するベル・ファーマシーの1店舗で、会社としては医療材料や健康食品などの健康・衛生関連品目にも力を入れている。また、地元に根ざした店舗展開であり、在宅医療への関わりを充実させる方向にあるという。店舗環境、医療機関等の要望に応じ、順次対応しつつある。

1300品目に及ぶ医薬品を常備

1300品目に及ぶ医薬品を常備

 隣接する原村医院は、常勤医師が2人、主に内科全般、泌尿器科、皮膚科および小児科の患者を診る。そのほか、糖尿病(月1回)、循環器(週1回)、消化器(月3回程度)の専門医による診療もあり、一般の診療所に比べ、総じて守備範囲が広く、対応する薬局にも相応の守備範囲が求められている。そのため在庫数は多く1300品目、常時使うという意味では1000品目だという。また、医療・衛生材料や健康食品などを取り揃えている。

グループ全店に電子薬歴導入

 1日に応需する処方箋は100~130件、常勤薬剤師4人、事務4人(パート2人含む)体制で対応している。他店舗の一部では、既に他社の電子薬歴システムが導入されていたが、順次、日立の電子薬歴システム「Pharma-SEED AS」の導入が進められ、今年3月、最後に同店舗にも導入され、全て電子薬歴に移行した。

 導入後、その多くは紙から電子への切り替えは逐次進んでいるが、久しぶりに来た患者さんなど、紙薬歴との突き合わせが必要なケースも少し残ってはいる。これまでに蓄積された紙の薬歴は4万件にも迫る。水野さんは「薬歴を探すのは大変でしたが、半年も経てば楽になるはず」と語る。

店舗内に5台の端末を設置(電子化で記載内容も充実)

店舗内に5台の端末を設置(電子化で記載内容も充実)

 4人の薬剤師のうち1人を除き水野さんも含め電子薬歴は初経験。とはいえ「皆、パソコンに慣れていたので、比較的スムーズに移行できた」と振り返る。現在、ノート型3台が主に投薬カウンターで、調剤室にはデスクトップ型2台の計5台の端末が活躍している。同時に各端末で薬歴等が確認できるため、投薬カウンターから調剤室まで、「ふと気になったことがすぐに確認できる」と、薬剤師の動線に沿った支援が魅力だ。

 導入して日は浅いが、水野さんは「特に薬の種類が多いと、紙薬歴の時は確認が大変だが、電子薬歴では処方変更が色で表示されたり、『詳細』をクリックすればいつまで処方されていた、あるいは新規だとかを容易に知ることができ、ずい分楽になった」という。同地域では高齢化率は高く、必然的に処方数も多くなる中で、服薬指導の効率化を実感している様子。

各店の在庫も一目で

 一方、グループ薬局が「日立」に統一されたことから『本部管理Liteシステム』も導入された。「(各店舗の)在庫を把握できるので薬がない時に、スムーズに確認ができる。以前は、最悪、全店舗に問い合わせをしなければならなかった」と振り返る。

 今では本部管理が可能になったが、以前は社長が全店舗を回り、データを回収していたという。それを支える『本部管理Liteシステム』は小規模チェーン向けに専用サーバー不要のシステムとして開発されたもの。各店舗の不変動薬剤、有効期限薬剤、店舗別の在庫数などのほか、日報および月報などもリアルタイムで確認でき、運用管理の経費節減にも寄与している。

 日常業務への影響について水野さんは、「電子薬歴導入を機に、今まで以上に患者さんと話す機会が増えた」と語る。例えば、「血圧の薬が処方されている患者さんであれば、血圧を聞き、そのデータを電子薬歴に入力すれば、グラフ化が簡単にできるので、意識的に積極的なコミュニケーションを図るようにしている」とも語る。

 電子化されても紙薬歴の時と同様、時間的な制約もあり、投薬直後に薬歴を入力するのは難しく、「最後にまとめて入力する状況に変わりはない」という。ただ「少しでも情報を残しておくことで、次の(対面)材料になる。もちろん、他の薬剤師が対応するときも大いに役立つ」と指摘する。

 他の薬剤師も「以前に比べ記入内容が充実してきた」と語る。薬局内での情報共有に向け、意識醸成のきっかけにもなったようだ。

 水野さんは今後、血圧情報、血糖値の変化など、様々な患者データが蓄積されることで、より良い服薬指導が薬局全体として可能になるものと、電子薬歴システムのさらなる活用に期待を膨らませる。

日立メディカルコンピュータ
http://www.hitachi-mc.co.jp/products/pharma-seed/index.html



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