日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)はこのほど、2018年度「ドラッグストア実態調査」の結果を公表した。同調査は00年度を初回とし、毎年同じ方法で調査を行うことで、日本のドラッグストア業態の動向と変化を明らかにしてきた。19回目となった今回の調査期間は昨年10月16日~今年1月31日で、JACDS正会員企業123社のうち117社が回答。会員外企業286社も独自に調査している。
18年度の調査結果を見ると、特に二つの“初”に目がいく。そのうちの一つが全国総店舗数であるが、今回初めて2万店を突破し、2万0228店舗となった。前回(17年度)調査よりも694店舗の増加だが、総店舗数に関しては調査開始以来、継続して増加している。JACDSでは「ドラッグストアは消費の多様化、狭小商圏化、高齢化対応など変化する商圏を的確に捉え、変貌を遂げつつ国民生活に浸透し、地域密着を進めている」と分析しているが、今回の結果がその分析を証明しているとも言えよう。
全国規模別店舗数では、150~300坪クラスが全体の45.7%(8223店)と半数近くを占めている。これまで通り150坪以上を大型店舗とすると、近年は大型店の比率が6割という状況。大型店の一層の増加傾向が鮮明になっており、調剤や食品を中心とする取り扱いカテゴリーの増加に対応した大型店が比率を高めているようだ。
一方、もう一つの“初”が全国総売上高だ。正会員企業94社1万4963店舗の有効回答による市場規模(5兆8445億円)をもとに、店舗の確認ができた全国のドラッグストア409社2万0228店舗の推定全国総売上高は7兆2744億円となり、初めて7兆円の大台に到達した。前回調査からの伸び率は6.2%。数年前の成長率が鈍化する踊り場から脱却して再成長を遂げ、高成長を継続している状況となった。
現在の高成長については、調剤分野への積極的な取り組み、食品の取り扱いの強化、訪日外国人によるインバウンド需要の取り込み、目的来店性の高まりによるワンストップショッピングの効果などを背景にした積極的な出店が大幅な成長につながったと見られている。JACDSも、「ドラッグストアが日本の産業として国民から信頼され、なくてはならないものとして期待されている証左といえる」と強調している。
高成長を続けるドラッグストア業界を牽引するJACDSでは、「2025年に10兆円産業化」を目標に掲げている。こうした中で現在、街の健康ハブステーション構想、「食と健康」市場創造プロジェクト、RFID(電子タグ)研究プロジェクトなど、JACDSの積極的な取り組みは次々と列挙することができる。掲げる目標は簡単ではないと思うが、その実現に向けて確かな手応えを感じているのではないだろうか。