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令和時代に変貌する薬業界

2019年05月10日 (金)

 今月1日、新天皇が即位されて令和の時代がスタートした。昭和を30年、平成を30年生きてきたが、天皇の退位に関する儀式は、今回初めて見た。昭和の時は崩御されているのだから当然である。天照大神などを祀る宮中三殿に古式ゆかしき服装で退位を報告され、天皇の証である三種の神器の継承も行われた。

 全国各地で祝賀の催しが挙行され、繁華街ではカウントダウンが行われて盛大な賑わいを見せていた。今年2度目となる新年の幕開けのようである。海外から見れば、2019年4月30日から5月1日に変わっただけであるが、日本では元号が変わる特別な日である。西暦のほかに元号を使用することは、煩わしいとの否定的な意見もあるが、一般参賀には14万人以上が訪れるなど、大方の日本人は受け入れているように感じる。

 21世紀も20年近く経過し、AI等のコンピュータ、インターネットが普及して、小惑星リュウグウにハヤブサ2が到達して各種ミッションを行い、疾病を完治できる画期的な医薬品も出現している。高度な科学技術が全盛の時代に、今でも象徴としての天皇制を維持して、数多の神々と共に生活しているのは日本くらいだろう。

 薬業界に目を転じれば、平成に引き続き令和となっても各分野で課題は山積しており、大きな転換期を迎えて、これまでよりさらに踏み込んだ変革が求められている。そのキーとなるのは、旧態からの脱却である。

 薬局薬剤師は、白衣を着て処方箋を持って来る患者を待ち、調剤業務をこなしていれば十分な収入が得られた時代は過ぎ去ろうとしている。「患者のための薬局ビジョン」に則り、かかりつけ薬局・薬剤師の機能強化に努め、積極的に地域に出て行くことも必要になる。医薬品の専門知識を活用して、地域住民の健康に関わっていかなければ、薬剤師としての存在感を失うことにもなりかねない。

 製薬企業も大きな変貌を遂げている。国内だけで長期収載品に頼っていたビジネスは消滅する。日本の医薬品市場の状況を踏まえてグローバル化を進め、世界で通用する新薬を開発できなければ、研究開発型製薬企業の命運は尽きる。MRの仕事も変化しており、ここに来て人員整理が加速しているのは、危機感の現れであろう。

 医薬品流通においても変化が激しいのは同じである。医薬品卸各社・グループは、従来の市場シェア獲得によって売上を追求するビジネスモデルからの脱却を図っている。国主導による流通改善ガイドラインが出されたことも影響している。

 各分野の展望は前号を参照されたい。業務の基本になる各制度やルールは、時代に即して改正、創設されてきたが、この流れは令和も同じである。いかなる環境にも適応できる企業・人材だけが令和時代を生き残っていけるだろう。



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