シンポジウムの主な話題
12月5日(土)10:00~12:00 第1会場
座長:善光 龍哉(日本医療研究開発機構)
◇大阪医科大学におけるBINDSとの連携―バイオバンク検体の活用から創薬研究まで
谷口 高平(大阪医科大学研究支援センタートランスレーショナルリサーチ部門)
◇iPS細胞由来心筋細胞を用いた創薬研究
内藤 篤彦(東邦大学医学部生理学講座細胞生理学分野)
◇腫瘍細胞優先的にP53経路を活性する新たな機構の解明とがん分子標的治療薬の開発の試み
河原 康一(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科分子腫瘍学)
◇神経変性疾患ポリグルタミン病に対するタンパク質凝集阻害薬L-アルギニンによる治療法開発
永井 義隆(大阪大学医学部神経難病治療学)
◇創薬研究の限界から見えてくるアカデミア創薬への期待とは?
近藤 裕郷(九州大学大学院薬学研究院グローバルファーマシー分野)
日本医療研究開発機構(AMED)の「医薬品プロジェクト」のうち、創薬の標的検証ステージから前臨床研究の前までをカバーし、アカデミアや民間企業の研究者の研究を支援する「創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)」で支援を受けた研究者が研究成果を発表する。
谷口高平氏(大阪医科大学研究支援センタートランスレーショナルリサーチ部門)は、バイオバンク事業で収集した試料等を用いて、学内外の研究室や企業等との共同研究の促進に取り組んでいることを示す。BINDSの支援を受けて、臨床試料を用いた実験系の確立や、アカデミア創薬開発の支援体制に対する基盤整備の構築を進めていることなどを紹介する。
内藤篤彦氏(東邦大学医学部生理学講座細胞生理学分野)は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた創薬研究の一環として取り組んでいる、心臓のポンプ機能に対する毒性を評価する試みや、その応用研究として薬物による心臓のポンプ機能低下を回復させる可能性のある化合物の探索に関する話題を提供する。
河原康一氏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科分子腫瘍学)は、癌抑制因子P53の分解を促進するMDM2に対する阻害薬の治験が進展する中、MDM2阻害剤の副作用を軽減する新たな機序でP53を活性化する分子標的薬の開発に取り組んでいることを示す。
永井義隆氏(大阪大学医学部神経難病治療学)は、これまでに実施した基礎研究で、神経変性疾患ポリグルタミン病に対するタンパク質凝集阻害薬L-アルギニンによる疾患修飾治療効果が明らかになったとして、医師主導治験の準備を進めている現状を説明する。
近藤裕郷氏(九州大学大学院薬学研究院グローバルファーマシー分野)は、難治性でアンメットメディカルニーズの高い疾患においては、創薬標的分子の正確な絞り込みが不十分なためヒトで有効性を示す治療薬の創製に至っていないとして、その解決に向けてアカデミアが果たす役割や取り組みなどについて紹介する。