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コロナと同じ轍踏まない対策必要

2024年10月11日 (金)

 昨今、感染症に関する話題が増えてきている。国内で流行している感染症としては、新型コロナウイルス感染症のほか、麻疹ウイルス感染症(はしか)、手足口病、梅毒などがあるが、国立感染症研究所(NIID)の感染症発生動向調査週報(IDWR)第35報で、注目すべき感染症としてマイコプラズマ肺炎を取り上げている。

 それによると、肺炎マイコプラズマを原因菌とする肺炎で、主な感染経路は飛沫感染と接触感染。患者は1~14歳に多く、家族内や学校などで頻繁に集団発生が起きる。潜伏期間は感染後2~3週間程度である。症状は発熱、全身倦怠感、頭痛、咳など。治療はマクロライド系抗菌薬が第一選択薬だが、薬剤耐性には注意が必要。現時点で有効なワクチンはないという。

 疫学調査研究報告では、3~7年程度の間隔で大流行が起きるとされている。24年第35週までの定点当たり累積報告数は12.36(累積報告数5934)で、この10年間では、周期的な大流行年だった16年の21.89(同1万0376)に次いで多かった。

 海外においては、厚生労働省検疫所が、アフリカのルワンダ共和国で初のマールブルグ病の発生が確認されたと伝えている。厚労省の啓発用ポスターでは「マールブルグ病には、確立された治療法もワクチンも今のところない」と記されている。今のところという文言は、今後治療法・治療薬やワクチンが開発されることを期待している表現とも受け取れる。

 9月24日、政府の医薬品開発協議会が開催され、文部科学省から「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」(22~26年度)の中間評価が報告された。

 同事業については、国内でのワクチン開発研究の蓄積が進み、将来のパンデミックに対して世界に先駆けたワクチン開発に資することが期待できることから、本事業を継続すべきと評された。

 また、厚労省は9月30日、感染症対策上の必要性が高い医薬品の早期承認に向けた手順(スキーム)を、厚生科学審議会危機対応医薬品等(MCM)に関する小委員会と重点感染症作業班の合同会議に示して了承された。

 そのスキームは、▽厚労省感染症対策部で、感染症対策上の必要性の高い医薬品を検討し、厚科審MCM小委で審議▽MCM小委で諒承された後、厚労省医薬局医薬品審査管理課に対して早期承認を要望▽厚労省が早期承認要望受理を決定し、PMDAに決定を通知――という流れになっている。

 コロナ流行時、日本は当該ワクチンと治療薬の開発・製造で諸外国に後塵を拝したことは記憶から消せない。創薬大国を目指すならば、このトラウマからの脱却は必須である。日本のみでなく、世界への貢献も果たせる感染症の治療薬、ワクチンの開発に期待する。



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