島津製作所は3日、「Nexera CL LCMS システム」(クラスI医療機器)を国内で販売を開始した。同システムは、血液や尿など生体サンプル中の標的成分の分析が可能な臨床用途の製品。分離部である「化学的性質に基づき標的物質の分離が可能なクロマトグラフ(LC)」と、検出器である「質量に基づいて分離・検出する質量分析計、もしくは吸光度に基づいて検出するUV検出器」で構成されている。

同システムは、非医療機器として発売済みの産業/研究用途向けの旗艦ブランドLCの分離部をもとに、血液など生体サンプル中の標的成分の分析を目的として開発された。産業/研究用途向けのLCであるNexeraシリーズは、2019年3月の発売以来グローバルなロングセラーとなっており、様々な分野やサンプルでの使用実績がある装置となっている。
メンテナンス性の高さも従来機から継承している。ユーザーは、LCで分離したサンプルを質量分析計の真空部へ導入するDL(Desolvation Line)やESI キャピラリーを短時間で簡単に交換できる。これらは質量分析計を停止することなく、真空状態のまま交換できるため、分析のダウンタイムを最小限にとどめることができる。
また、幅広い分析ニーズに対応するため、脂溶性の高い成分分析に適したAPCI(大気圧化学イオン化法)と呼ばれるイオン化ユニット(別売り)を開発している。さらに、多検体分析ニーズに対応するため、プレートチェンジャーにも接続可能となっている。プレートチェンジャーは最大で1536検体を連続で分析できる
同社は、15年に臨床用途向け「Nexera LC-MS/MSシステム」と「Prominence LC-MS/MSシステム」(クラスI医療機器)を日本で発売し、同様のLCおよびLCMSを米国や欧州で発売してきている。今回の「Nexera CL LCMSシステム」では、分離部を最新型の装置に置き換え、UV検出器には一部追加可能なユニットなどのラインアップを拡充して、より幅広い顧客ニーズに対応できる。
希望販売価格は、UV検出器システムが1165万円~、LCMSシステムが5423万円~(いずれも税込)。26年度の販売目標は6セット。