AI予測を使った薬局版置き薬
調剤薬局の棚の大半を占めている調剤機会の少ない医薬品の「ロングテール在庫」。適正な在庫を正確に予測することが難しく、在庫管理の複雑化や廃棄の増加など薬局の経営を圧迫する余剰在庫になる可能性がある。キリンホールディングスは調剤薬局の在庫管理問題を解決するため、新規事業として2022年末にAI置き薬サービス「premedi」をリリース。27年までに2000店舗の薬局への導入を目指す。
同サービスは調剤薬局に医療用医薬品を置き薬として在庫できるサービス。医薬品を1シート、1本など小ロットから購入が可能で、同社が用意する専用の棚で管理。医薬品は薬価+税で購入して在庫として置いておける上、未使用品は薬価+税で買い取ってくれる。期限が迫った医薬品は新しい期限のものに入れ替えることも可能だ。最終的な支払いは使った分のみのため、医薬品廃棄の心配もなくせる。医薬品の売買は医薬品卸売販売業許可を取得している協力会社Pharmarketが行う。
また、同社が調剤薬局向けに独自開発したAIが、薬局数千店舗の販売ビッグデータをもとに、店舗の周辺地域情報や医薬品の相関関係などの統計データから、ロングテール在庫の需要を予測。各薬局で在庫がないが処方箋が来る可能性のある医薬品を約100種類提案し、それをもとに医薬品を選定して置き薬として置くことができる。これにより取り扱い頻度の低い医薬品の在庫リスクと欠品リスクを同時に減らすことができる。また、医薬品の在庫管理にかける時間を効率化でき、創出した時間を服薬指導など患者との時間に充てられ、サービス向上にもつなげられる。
同サービスの置き薬はウェブからクラウドシステムで管理。専用の棚と連動した在庫システムで医薬品の置き場所も一目で分かり、目的の医薬品を即座にピックアップできる。在庫の使用期限はシステム上で自動で管理されるため、煩雑な在庫管理の手間からも解放される。また、医薬品の追加発注もシステム上で可能。リコメンドされた医薬品だけでなく希望の医薬品もリクエストできるため、追加発注してあらかじめ在庫しておくことで欠品を事前に防ぐなど、多種多様な患者への対応ができる。
使用料金は使った分の医薬品の代金と月額使用料。最大品目数によって月額利用料は変動する。
キリンホールディングス(premedi)
https://premedi.kirin.co.jp/