自動で有害事象を評価、分析‐潜在的リスクの検知機能も
IQVIAは、安全性情報業務支援システム「IQVIA Vigilance Platform」の日本での本格展開を始めた。このシステムは有害事象・副作用の収集、評価、分析、報告の自動化を極め、AIなど自動化技術により関連業務の効率化と共に、業務品質の向上を図れるよう設計されている。日本独自の規制運用にも十分な対応ができるようになったことで、プロモーションを強化した。既に国内企業への導入を進めているほか、引き合いも増えているという。
報告される有害事象は年間20%程度増えているほか、中国などの新たな地域やソーシャルネットワークなど新たな情報ソースへの対応も迫られる。安全性情報管理部門では業務増加でリソースが圧迫される一方で、コスト削減と業務スピードのアップが求められる。
そのような業務課題に応えるために開発されたのが、このシステムだ。2018年にリリースされ、バージョンアップを重ねて進化し続けている。当初から業務の一連のプロセスに対し、AI、機械学習など最新技術を適用することで自動化を徹底することをコンセプトに開発された完全クラウド型(SaaS)システム。そのため常に世界各国の最新規制に対応したシステムが提供されるのも特徴の一つだ。
プロセス別に特徴を説明するとこうだ。
【情報を取得する段階】FAX、PDFファイル、E2Bフォーマット、ポータルサイトを通じたMRからの報告など、あらゆるソースからの安全性情報を自動的に取り込む。言わば、メールボックスのような機能だ。異なったフォーマットで寄せられる情報を生成AIにより解析し、評価が可能な形に整えていく。生成AIには誤りもあるため、担当者によるチェックを経て、次の評価プロセスへ情報を送る。
【情報を評価する段階】蓄積された情報を評価し、当局報告の要否などを判断していく。
【情報を分析する段階】各国での事象の動向、製品ごとの患者背景も加味した分析などを容易に実現する。これは評価する段階に情報が登録された時点でこれら分析が可能な状態になっている。
ユニークなのが、ソーシャルメディア、文献、コールセンターの音声データ、画像情報など、構造化されていないデータから潜在的リスクを自動的に検知する機能。
これら機能のうち企業側は一部のみの導入も可能だ。グローバルでの導入企業は大企業から新興バイオ企業まで幅広い。
サポート体制は、日本では約30人でバイリンガルスタッフが導入コンサル、導入支援、運用サポートまで対応する。ただ、日本だけで導入するより、グローバルで導入するケースが多いという。各国の規制、当局対応に精通したIQVIAならではのシステムは、グローバル対応の中でこそ機能がより生かせる。グローバルでは数百人体制でサポートする。
日本の関係者に対し、このシステムを担当するSRQテクノロジーソリューションズ日本&アジア太平洋地域、シニアディレクターのコラーナ・インダルディープシング氏は、「われわれはシステムだけを提供しているだけでなく、ビジネスプロセスを熟知したコンサルタント、サービス担当者を擁し、ヘルスケアに特化したAI技術も開発している。最新技術により人力を要した業務の自動化を図り、効率化と業務品質を高めることで、企業がより注力したい業務にリソースを振り向けられるよう支援していきたい」とメッセージを送る。
IQVIA(IQVIA Vigilance Platform)
https://www.iqvia.com/ja-jp/locations/japan/solutions-and-services/technologies/safety-regulatory-and-quality/safety-and-pharmacovigilance