第57回日本薬剤師会学術大会
EMシステムズは2023年にグッドサイクルシステムとユニケソフトウェアリサーチを子会社化し、グループとして薬局・薬剤師業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援している。
24年度診療報酬改定では、「医療DX推進体制整備加算」など、DXを意識した点数が導入され、実業務におけるDX化の推進が図られている。これにより、業界全体として薬局のDX化が必須となる時代に突入していく。
EMシステムズは、22年12月にリリースした「MAPs for PHARMACY DX」は、レセコンや電子薬歴の枠を超え、薬局DXを通じて、「モノからヒトへ」に対応した薬局をサポートし、薬剤師や患者の顧客体験であるユーザーエクスペリエンス(UX)を高め、#TX(ThanksTransformation)を実現する「オールインワン・ファーマシープラットフォーム」。DX推進に役立つシステムとして、大きく3つの方向性を意識している。各種機能を、▽ユーザーとのつながりを深める「SoE」▽業務の正確性や継続性を支える「SoR」▽分析や洞察により成長や進化を生み出す「SoI」――の3つに分け、各領域での機能拡充を目指している。
6月にリリースした「処方箋シェアリング」は、クラウドやリモートデスクトップの仕組みを活用することで、チェーン薬局本部主導での処方箋入力センター運用や混雑時間帯が異なることを利用した他店舗からの代行入力、在宅勤務スタッフによる代行入力が可能となる。また、薬局向け業務支援BIツール「BunseQI」は、“対人業務へのシフト”“薬剤師のスキルアップ”“マーケティング・経営戦略の策定支援”を目的に、様々なデータを活用・分析する。処方箋リーダーは、最先端AIや医療専用OCRの技術で、処方箋入力作業の大幅な時間削減を実現し、薬局DXを促進する。
ユニケソフトウェアリサーチでは、EMシステムズグループの開発力やソリューションを取り入れることでラインナップを強化し、地域の医療提供においてそれぞれの薬局・薬剤師が目指す姿を支援している。
日々の薬局業務で利用の基幹システムとして強化した、レセコン・クラウド薬歴連携システム「P-CUBE +g」(ピーキューブプラスジー)は、利用者のクラウドに対するニーズに応えて23年12月にリリースした。クラウドの特性を生かしたiPadの利用によって、電子薬歴を携帯し、在宅医療やチェーン店の他店舗でもスムーズに活用することができる。処方内容や患者情報ごとなどに確認すべき事項がピックアップされる「ガイド機能」やiPadの標準機能の音声入力機能によって、適切な服薬指導や薬歴の入力、作成時間の短縮の実現を支援している。さらに、運用条件が合致した場合には所有しているiPadやPCの活用が行えるため、導入当初のコスト削減にもつながる。
また、オプション機能も充実している。薬剤師としての専門性を発揮することでかかりつけ薬剤師・集患対策の可能性をひろげる患者コミュニケ―ションツール「Followcare(フォロケア)」を搭載し、オンライン服薬指導や服薬フォローアップ業務の充実を図っている。Followcareには5つの機能(処方箋送信、先確認、オンライン服薬指導+オンライン決済、フォローアップ、電子お薬手帳)があり、必要な機能だけ選ぶこともできる。
また、薬局での窓口業務の負担削減を実現し、薬局における対人業務へのシフトを加速化させる薬局向け処方箋読取システム「処方箋リーダー」もラインナップに備えた。処方箋から文字データを正確に取り込み、処方箋情報を早く・正確にP-CUBE +gに入力することができる。
グッドサイクルシステムでは、スマート薬歴「GooCo(グーコ)」の後継として22年12月に「スマート薬歴GooCo DX」をリリース。薬歴記載業務の効率化と薬剤師の対人業務強化をより一層サポートしている。処方箋受付からオンライン服薬指導、フォローアップまで一元管理が可能。EMシステムズのレセ・薬歴・在庫一体型薬局向けクラウドシステム「MAPs for PHARMACY DX」の電子薬歴機能でもある。また、EMシステムズの「スマレキ with Recepty」やユニケソフトウェアリサーチの「P-CUBEシリーズ」との一体型使用が可能だ。
さらに、GooCoDXではAI活用機能として、「服薬指導音声からのSOAP薬歴自動下書き」する機能を開発中。電子薬歴画面に録音機能を搭載。録音データは生成AIを活用し、テキスト・サマリー化する。服薬指導の内容が薬歴の下書きとして自動作成されるため、薬歴作成業務の大幅な効率化が期待される。この機能はEMシステムズグループの展示ブースに参考出展される予定。各社の製品やソリューションは展示ブースで体験することができる。